新刊のお知らせ
「失われ行く森の自然誌ー熱帯林の記憶ー」

       大井徹著.東海大学出版会、平成11年1月20日発行
                     A5変型、192頁
                   定価(本体2500円+税)


著者並びに本の紹介/アウトバック 代表 藤村正樹

 この度、私の友人の大井 徹氏が、上記の本を東海大学出版会より出版されました。彼は農林水産省森林総合研究所東北支所の保護部鳥獣研究室にお勤めの研究者で、本業はニホンザルの生態研究ですが、ツキノワグマやシカの調査も行い、活動の幅が広い方です。昨年は朝日新聞岩手県版にツキノワグマの記事を連載したこともあり、彼の文才に驚いたものでした。この本は、インドネシア(スマトラ、スラウェシ)とマレーシア(パソー)を舞台にアジア熱帯雨林の自然、風土と森林破壊の問題について書いた一般(高校生以上)向けのサイエンスエッセイです。皆様にご一読いただければ幸いです。


目次
はじめに
第一章 熱帯林ノート
巨大高木の森/多様な熱帯林/ガイアのヘソ

(囲み記事:フタバガキ科の一斉開花)

第二章 スマトラ島へ
クリンチ山の麓にて/山脈の形成/寒い熱帯/ラフレシアの島

(囲み記事:大陸移動説と熱帯雨林の種多様性)

第三章 牙折れゾウの森
私の地図/ジャングルウォーク/哺乳類・鳥類相/ハリマオ/牙折れ/ゾウの血だまり/大蛇/ハチの石の魔力/森の音/ネズミの親玉/捕らわれた小さな王様/サルシシ合戦/ゆっくりズムで目眩まし/サルのスカイダイバー/森のオペラ歌手/異種を求める心理/森を作る動物たち

(囲み記事:絶滅の生態学)

第四章 働くサル
ブタの尻尾/人と共に働くサル/サルを覗き見る/お尻を腫らして誘惑/交尾の優先権と独占/ニホンザルの源流

(囲み記事:マカカ属(マカク)について)

第五章 里に生きる、森に生きる

スマトラの歴史と民族/水牛と生きる母系民族/辛いのがうまい/一緒に食べよう/山奥の影絵芝居/狂気の騎手の舞/精霊の森/森の中のヒト/サル捕り罠/ヒトと獣たちとの攻防戦

(囲み記事:熱帯林のめぐみ)

第六章 失われゆく野生と森林

牙折れの死/森を食う人々/クリンチ・シブラット国立公園/盗伐/固有種の島の行くへ/北スマトラへの旅/クロザルの森/地域にねざした保護活動/森を食う私たち

(囲み記事:森林大火災)

参考文献

あとがき