新刊紹介

「野生動物の生態と農林業被害」

三浦慎悟・著/(社)全国林業改良普及協会・編集・発行

 このほど、野生動物の農林業被害に焦点を当てた本が出版になりました。鳥獣法改正案が国会で審議されているこの時期だけに、とてもタイムリーな出版だと思います。

 著者の三浦慎悟氏(森林総合研究所東北支所保護部長)は「この小著は、被害問題を抱える農林業関係者、野生動物や自然保護に関心を持つ方々に加え、とりわけ関係行政や関係機関の方々を対象に書いた。それは、野生動物の被害問題への対応や、その保護と管理には、行政的な支援や枠組み無しに、成立しないと考えたからである。この本がわが国における『野生動物管理』のささやかな入門書となれば幸いである。」と、「はじめに」で述べられているように、日々野生動物被害対策で悪戦苦闘されている、多くの役所職員の皆様にご一読いただきたい1冊です。



タイトル:「野生動物の生態と農林業被害」

      共存の論理を求めて

著者:三浦慎悟

編集・発行:(社)全国林業改良普及協会

107-0052 東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル7階

TEL:03-3583-8461 FAX:03-3583-8465

振替 00180-7-83178

発行:1999年3月19日

価格 本体価格923円(税・送料別)

 

index:

1.拡大する野生動物の農林被害

  農業における被害

  林業における被害

  1)シカ〈食害、角こすり〉 2)カモシカ 3)ツキノワグマ

  4)野ウサギ 5〕野ネズミ

 

2.農林業とその被害の歴史、特に林業を中心に

  近代以前

  明治期から戦前まで

  戦後、被害統計を振り返って

  カモシカ問題の登場

  シカ問題の今後

 

3.野生動物の被害とは?

  その社会的背景

  被害問題の構造

  1)加害動物の性格 2)被害の評価

 

4.動物にとっての森林・被害を発生させる動物の生態

  シカ

  1)ニホンジカとはどのような動物か?

  2)シカのふるさと〈現在の分布と食性〉

  3)シカの社会〈群れと密度・シカの悲劇・一夫多妻〉

  4)シカの繁殖〈メスと子供・増加のスピード〜繁殖率・死亡率〉

 

  カモシカ

  1)カモシカとは?

  2)カモシカの分布と食性〈カモシカの分布と変遷・カモシカのメニュー〉

  3)カモシカの社会〈なわばりを持つ社会・社会が意味すること

  4)カモシカの繁殖

 

  ツキノワグマ

  1)クマの現状

  2)分布と食性

  3)クマの社会

  4)クマ類の繁殖〈冬眠と堅果の豊凶・不思議な繁殖〉

 

  イノシシ

  1)イノシシの現状と被害

  2)イノシシの繁殖

 

  ニホンザル

  1)ニホンザルの分布と食性

  2)被害の増加とその背景

  3)サルの社会と繁殖

 

5.農林業被害の防除法

  さまざまな防除技術

  1)防護柵 2)忌避剤 3)その他〈単木ごとの物理的回避・

  音による回避・威嚇・その他・新しい防除技術の模索〉

 

  防除技術の到達点

  1)防除法の適用 2)防除法の限界

 

6.野生動物の保全と管理

  シカの個体群管理

  1)個体群の分布と個体数(密度)を調べる 

  2)目標を設定する

  3)管理計画を作成する

  4)個体群管理におけるモニタリング

  5)責任ある試行錯誤

  カモシカの個体群管理

  イノシシの資源的管理

  クマの保護と管理

  サルの保護と管理

  1)生息地の整備と管理

  2)群の個体数管理