OC-10 logo mark 『はじめに』


 以下の情報の原本は、カウンターアソールト社(米国)が1995年に、米国国内の警察機関向けに現場警察官を対象に作成した"Tactical Training OC-10 Course" の日本語版(『OC-10 実用トレーニング・マニュアル』)からの抜粋です。唐辛子スプレー「OC-10」(オーシー・テン)についての理解を深め、正しく利用していただくために作成したものです。

 カウンターアソールト社の日本総代理店である有限会社アウトバックが、カウンターアソールト社の承諾を得て、2001年2月に翻訳しました。

  唐辛子スプレー「OC-10」や熊撃退スプレー「カウンターアソールト」についてご意見、ご質問などがございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

 この『OC-10』が、犯罪防止の一助となれば幸いです。

                                  平成13年4月吉日

 

有限会社アウトバック


content:
●有効成分(OC)についての説明
使用している高圧ガスの説明
●OC-10/カウンターアソールトの特徴
●汚染除去および被害処置
自動車などの汚染除去
保管と廃棄


有効成分(OC)についての説明


有効成分: Oleoresin Capsicum オレオレジン・カプシカム、通称OCは、辛い食品に使用される唐辛子などからとれる油性の樹脂で自然にあるものである。OC/ペパー(トウガラシ)を成分とする護身用スプレーは、ほとんど即効的に皮膚に焼けどのような感触を起こし、目をヒリヒリさせ、催涙効果と腫れを起こす。OCが吸い込まれた場合、気管に炎症が起きるため気道の粘膜が腫れ上がり、一時的に短く浅い呼吸になる。化学薬品を使用した催涙スプレー(CNおよびCSなど)にも催涙および呼吸困難の作用があるが、OCに見られる炎症、腫れの効果はない。

 トウガラシ・スプレーのOC含有量は、たいてい他の材料の重量とのパーセンテージとして記されている。しかし、異なるトウガラシ・スプレーの「辛さ」を計測するには、パーセンテージだけでは比較できない。その理由は、オレオレジン・カプシカムの辛さは、そのカプサイシノイド含有量によるためである。ゆえに、OCの辛さは、それに含まれているカプサイシノイドの量に直接比例しているが、製造会社によって顕著に違いがある。

 OCが持つ辛さは、たいていScoville Heat Unit (SHUスコビル熱単位)として評価される。この評価単位は、料理や園芸食物において味覚の主観的な測量単位であり、SHUは数千から数百万単位と幅広い。例えば、原材料が500,000SHUのOCから、10%のスプレーを生産すると、その辛さ評価はOCの1割の50,000SHUである。しかし、原材料が2百万SHUのOCで、同じように10%スプレーを生産すると辛さ評価は200,000SHU、つまり、同じ10%スプレーという表示を持つものの、前者の4倍の辛さがあるスプレーができる。このため、より正確なMajor Capsaicin(MC=主要カプサイシン)含有量の測定法を使用することを勧める。これはHPLC(高度液体クロマトグラフィー)を用いて、MC混合物がもつ5つのMCピークのうちの3つを測定することができる。例えば、
カウンターアソールト(熊撃退スプレー)は最低OC含有量18%(1.73%MC)で、3,200,000SHUの辛さ評価がある。すべてのカウンターアソールト及びOC-10に使用されているOCは、食料品の材料品質である。



使用している高圧ガスの説明

 高圧ガスとは、OCを缶からスプレーするために必要な圧力を発生させる化学物質である。高圧ガスは、二酸化炭素や窒素などの圧縮された気体か、または揮発性の高いプロパンやHFC-134a(代換フロン)などの液体である。カウンターアソールト(熊撃退スプレー)やOC-10にはHFC-134aが使用されている。HFC-134aは塩素を含まないので、地球のオゾン層に与えるダメージはほとんど無い。ただし、FC-134aは温暖化に影響があるとの報告が、専門家から出されている。

 また、いくつかの高圧ガスは燃焼性が高いため、火花や炎の近くでのスプレー使用は避けるべきである。HFC-134aは不燃性のガスであるが、カウンターアソールトは燃焼の危険があるので取り扱いに注意が必要である。さらに、高圧ガスは温度にも影響される。ほとんどのスプレー缶は長時間暑い場所(40℃)、例えば炎天下で直射日光を受けた自動車の中の温度に放置された場合、爆発する危険性がある。また、0℃以下の温度で長時間放置した場合は圧力の減少により、噴射が遅くなる可能性がある。



OC-10/カウンターアソールトの特徴

 OC-10は他の化学薬品スプレーと大きく違う。一般的なCN/CSスプレー(催涙剤)は刺激物や催涙剤を使用しているが、OC-10は炎症を起こす成分、オレオレジン・カプシカム10%を使用している。これまでに使用されてきた催涙剤の細い液状スプレーに比べ、OC-10は高圧、大量、高速の円すい噴霧によって標的を覆う効力ははるかに高い。粘膜に直接接触した場合、効果は即効である。即座に活動が衰弱しない(重要器官に影響が少ない)対象者でも、目・鼻・のどがヒリヒリするなどの影響を受け、戦う威力を弱める。OC-10は、人間に使用した場合約45分間の効力を持っていながら、特別な後処理や医療処置を必要としない。ただし、症状が45分間以上続いた場合は、医療的処置を必要とする。



汚染除去および被害処置

汚染除去

 OC-10の影響は、特別な処理を行わなくても時間とともに薄れ、消散する。30分間の普通の換気でOC-10は消散される。

被害処置 

 OC-10の肉体への影響は一時的なものであり、約30−40分間で消える。しかし、浴びた被害者の不快感を取り除く処置は行うべきである。処置は、浴びた箇所を冷水で流したり、ミネラル・オイル、ミルクなど油性分を含む液体で流すだけで良い。可能なかぎり早く被害者を汚染域から連れ出し、新鮮な空気のある環境に移動し、目を開けたまま水に頭を浸すようにする。すべての症状は、45分以内に消えるはずである。個人の健康に差はあるので、被害者の肉体的な反応を注意して観察するべきである(特に喘息の傾向にある体質では急性的な症状を示すことがある)。異常と思われる反応が起きた場合、または症状が45分間以上続いた場合は、医療的処置を必要とする。
 
症状や部位に応じて、眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科などの専門医に診断してもらう。その際に使用された成分は唐辛子エキス(OC、Oleoresin Capsicum、オレオレジン・カプシカム)と説明を加える。



自動車などの汚染除去 

1.OCは生物分解性なので消散に特別な道具や洗浄を必要としない。

2.普通の換気(ドアや窓を開ける)で俊足に消散する。

3.消散後、車内を洗浄液と水でふき掃除をしても良い。



保管と廃棄  

保管

 子供の手の届かない冷暗所に保管すること。40℃以上、0℃以下の温度で保管しないこと。

廃棄

 天候が穏やかな(風のない)日に、屋外で容器を地面に向けスプレーし、全ての圧力が抜けるまでバルブを押し続ける。使い切ってから捨てること。容器を数枚の新聞紙にしっかりと巻いて包み、不燃ゴミに捨てる。(注1)

注1:カウンターアソールト及びOC-10の廃棄について、有限会社アウトバックでは次の方法を奨めている。

必ず火気のない屋外で他に迷惑がかからないように周囲や風向きに注意して、容器を地面に向けスプレーし、全ての圧力が抜けるまでバルブを押し続ける。ガスや内容物が残留した状態で釘などで穴を開けることは大変危険なので止めること。使い切ってから廃棄すること。廃棄に際してはビニール袋に密閉し、不燃ゴミとして処理する。



gif. OC-10を見る
gif. カウンターアソールト(熊撃退スプレー)を見る
gif. SECURITY INFORMATINを見る


"Tactical Training OC-10 Course" Edition 3.1, 1995
Prepared by:
COUNTER ASSAULT Training Unit

Coppy Gagnon - Master Instructor
and
Jhon Harrison - Training Coordinator

Edited by
Robert J. Banis


Counter Assaultィ "Grizzly Tought" OC-10ィ Pepper Spray - Kalispell, Montana - ゥ1999
Copyright ゥ 1995 by Counter Assault
"Tactical Training OC-10 Course" の著作権はCounter Assault社が所有します。
"Tactical Training OC-10 Course" 日本語版・『OC-10 実用トレーニング・マニュアル』の著作権は有限会社アウトバックが所有します。

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お問い合せ先:有限会社アウトバック 〒020-0401 岩手県盛岡市手代森16-27-1
TEL:019-696-4647 FAX:019-696-4678
       email: outback@cup.com