我が家に出没した珍客
 ニホンアナグマ (Meles meles)

  撮影者:藤村正樹
  撮影年月日:平成12年10月3日
  撮影場所:岩手県盛岡市手代森 

 



犬にアタックされて、興奮状態のアナグマ。大量のよだれを垂らしている。



『我が家にクマが出没!?』

 10月3日の午後、飼い犬のマックス(雄・ラブラドール 1歳7ヶ月))が騒々しく吠えていた。夕方、犬を散歩に連れ出すためにマックスを鎖から解放した途端、彼は軒下に猛然と走り寄り、何かに向かって吠えまくった。最初は野良猫かと思いきや、なんと、そこにいたのはクマはクマでもアナグマではないか(アナグマは正式にはニホンアナグマと呼ばれ、クマと同じ食肉目に分類されるがクマの仲間ではない)!。犬をアナグマから引き離し、とにかく散歩に出かける。30分ほどして戻ると、案の定アナグマはいなくなっていた。

 ところがである、夜中にまた犬がさかんに吠えまくるので、隣近所に申し訳ないと思い懐中電灯を持って外に出てみる。と、またあのアナグマ君が軒下にいるではないか。このアナグマ君、私が1メートルまで近づいても逃げない。けがか病気でもしているのかと光を当ててみるが、よくわからない。私が動かないので安心したのか、それともよほど疲れているのか、背中を丸めて居眠りモードに入ってしまった。仕方がないので、彼(彼女?)を起こして、なんとか軒下から追い出そうと試みる。アナグマ君、さすがに1メートル以上近づくと威嚇してくるが、別に危険はなさそうだった。こちらもできるだけ丁寧に扱ったために、アナグマ君を追い出すまで40分以上もかかってしまった。以前にはカモシカが我が家のすぐ脇にまで出没したこともあったし、フクロウが裏の杉林に飛来することもたまにある。しかし、生きている野生のアナグマを、これほど間近で見たのは生まれて初めてのことだった。





アナグマ      meles meles (Linnaeus, 1758)
ニホンアナグマ   Meles meles anakuma Temminck, 1844

脊索動物門  哺乳綱  食肉目  イタチ科

前足痕長(爪共):6.5センチ
後足痕幅:5.0センチ
歩幅:15センチ
跳躍距離:30 センチ

イタチ科のアナグマはクマ(クマ科)の仲間ではない。その亜種であるニホンアナグマは、本州・四国・九州に広く分布している。生息密度は低いと考えられ、地域によっては絶滅の恐れもある。
最近5年間(1989〜1993年)の狩猟と有害鳥獣駆除の合計は、年間909〜1140頭である。ニホンアナグマは狩猟獣である。

アナグマは穴を掘るためのきわめて長い爪を持っている。アナグマの足は丈夫である。一見クマのそれによく似ている。歩くときもやや内股気味に前足を付く。
不通、単独で行動しているが、穴には1頭だけで入っていることは少ない。普通雌雄2頭、または4〜5頭が一緒にいることが多い。平地から低山帯に多く、標高1700メートルくらいにまで生息している。主に森林に棲み、特に谷に面した斜面に好んで棲んでいる。
アナグマは、本来肉食性の動物であるが、植物質も相当食べている。秋には植物質に依存する度合いが高く、大食する。それは冬ごもりのために脂肪を蓄えるからである。この冬ごもりは、完全な冬眠とは違い、少しの刺激で起きる状態である。

参考文献:「レッドデータ 日本の哺乳類」(日本哺乳類学会・偏/責任編集・川道武男)
     「アニマルトラック ハンドブック」(今泉忠明・高崎有起・著/自由国民社)
     「アニマル・ウォッチング」(安間繁樹・著/晶文社)

●アナグマ/
『みんなの動物図鑑』のウェブページ http://f35.aaa.livedoor.jp/~gotozoo/mammal/anaguma.htm



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