狩猟関係法令の改訂事項

2000/11/08掲載
 狩猟関係法令の改訂事項 大日本猟友会の会報(平成12年9月1日発行)からの抜粋です。環境庁の告示などによって、以下の事項が改正又は施行されます。



1.名札の付けないワナなどの使用禁止。平成12年度の狩猟期から甲種猟具である罠及び網に所定の標識(住所、氏名などを記載のもの)を付けないでこれらを使用して狩猟を行うことが禁止になりました。狩猟法では、狩猟の目的で罠や網などの法定猟具を使用するためには、甲種狩猟免許が必要です(ライフル銃や散弾銃を用いて狩猟するには、乙種狩猟免許が必要です)。山などで名札がついていない罠や網を見つけたら、それは違法なので、最寄りの警察に届けてください。


2.同時に31個以上の罠の使用禁止。平成12年度の狩猟期から甲種猟具である罠を同時に31個以上架設して狩猟を行うことが禁止になりました。これに違反すると罰せられます。これまでにも、一部の心ないハンターが多数の罠を架設し、見回りを十分にしなかったために、罠にかかった獣が白骨化して発見されることがありました。


3.鋸歯又は開いた内径の最大長が12センチ以上のトラバサミの使用禁止。この処置は、これまでは、法令15条に基づく解釈で、禁止猟具に指定されておりましたが、告示で禁止猟具(猟法)に指定されました。ただし、禁止猟具に該当する12センチ以上のトラバサミが実際には販売されており、誰でも購入できるという問題が残されたままです。


4.メスジカの捕獲禁止区域と期間の延長。これまでは、特定道府県をのぞく区域を捕獲禁止にしていたものを、全国一円を捕獲禁止にして、昨年規定された「特定鳥獣保護管理計画制度」により各都道府県が必要に応じて、独自に捕獲処置がとれるようになりました。メスジカの捕獲については、一般には「かわいそう」という意見が多いと思います。しかし、草食獣であるシカは条件が整えば簡単に増殖します。シカの生息数が増えすぎると、生息地の自然環境をシカが破壊し、他の野生動物にも悪影響を与え、また、餌不足で自らもクラッシュ(大量死)する傾向があります。シカの補食動物であるオオカミが絶滅した日本では、増えすぎたシカの生息数を適正数に調整するためには、有害鳥獣駆除による捕獲が有効であり、状況によってはメスジカの捕獲も頭数調整にはさらに有効であることされています。


5.囲い罠の法定猟具指定。一昨年に告示され、平成12年度の狩猟期から施行されるものであり、今後は、甲種種猟登録を受けないと使用できなくなります。


6.罠にかかった猪等の銃器による止め指しの適法解釈。この件は、狩猟又は有害鳥獣駆除の行為の範囲内で適法か否かの判断が困難な場合があり、実際には地域によっては、銃刀法の発射の制限に違反するとして、検挙されたり、また、そうでなかった場合があり、狩猟者の間に混乱がありましたので、関係省庁の協議の上、今後は「狩猟又は有害鳥獣駆除などにおいて、鳥獣に対して事実上の支配力を獲得し確実にこれを先占したといえない場合については、以下の要件に該当するときは、法にいう狩猟又は有害鳥獣駆除などの範囲内で行われたものと解する。」と見解を出しています。具体例を挙げると、有害鳥獣駆除の目的で架設した箱罠にクマが捕獲された場合、これまでは銃器で射殺することは、厳密には「違法」でした。そのため宮城県では、罠で捕獲されたクマの射殺を一切認めてきませんでした。それによって宮城県川崎町では、罠にかかったクマをヤリ状の鉄棒で突き刺して殺したり、水の中に沈めて溺死させるなど、残酷な手段でクマを処分し続けてきました。ただし、捕獲されたクマを銃器で射殺することは、多くの自治体や警察、猟友会では黙認されていました。それが今回、公で認められることになったわけです。以下、具体的な要件について列挙します。

A. くくり罠など鳥獣の動きを確実に固定できない構造の罠に鳥獣がかかった場合であること。
B. 罠にかかった鳥獣が、イノシシ、シカ及びクマなどのどう猛且つ大型のものであること。
C. 罠を仕掛けた狩猟者などの同意に基づき行われるものであること。
D. 銃器の使用に当たっての安全性が確保されているものであること。


7.狩猟における鉛弾の使用禁止。この件は鉛散弾の使用禁止と鉛ライフル弾の使用禁止に分かれますが、詳細は各県の猟友会や県庁、環境庁にお問い合わせください。


 また、北海道では11月1日からシカ猟が解禁されましたが、他の都府県では11月15日(水)から狩猟が解禁になります。特に毎年解禁日には多数の狩猟者が野山や湖沼、河川などに出猟しますので、野外に出かけられる方は注意が必要です。


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