ツキノワグマ情報 1998.02〜1998.07.30
●98.07.30 当社のホームページをご覧になったK氏から、山口県内で起きたクマの交通事故の情報が寄せられました。最近山口県内ではクマの目撃情報が相次いでいるようですが、7月30日の午後5時半頃同県阿武郡阿東町の県道に、雑木林から体長約1.2メートルの雄のツキノワグマが飛び出して、走ってきた乗用車に衝突し、まもなく死亡しました(7月31日中国新聞朝刊)。
「このように最近山口県内でも比較的人家に近いところでクマの出没がみられます。山奥まで開発が進みクマのテリトリーまで人間のエゴが進入しているのでしょう。車と衝突して死んだクマにも家族が待っていたろうに。可哀想なことをしたものです。合掌。」というK氏のコメントが添えられていました。
コラム 西中国山地のツキノワグマ
西中国山地に生息するツキノワグマは、専門家の調査によると300頭前後と言われている。環境庁が編集したレッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物リスト)にも広島県・島根県・山口県にまたがる西中国山地ツキノワグマ個体群は、絶滅のおそれがあるので「保護に留意すべき地域個体群」と明記されている。
広島県では「ツキノワグマ保護・管理計画」を独自に1994年から実施し、「奥山放獣」等の対策を実施し、全国から注目を浴びている。その後、島根県でも同様な計画を実施し、最期に1997年から山口県でも同様な計画を実施している。また、1994年から5年間、この3県ではツキノワグマの狩猟が禁止になっている。ただし、有害鳥獣駆除による捕殺は認められている。すなわち、生息数は絶滅手前までに減少しても、農作物や果樹、養蜂などの被害が増加し、クマの生息地に住む地域住民とクマとの軋轢が、大きな社会問題になっている。さらにこの地域では、イノシシを捕獲する目的で設置した括り罠(くくりわな)に、誤ってツキノワグマがかかり、結果的に射殺処分される例が毎年少なくない。一歩間違えば密猟と同じことなので、ツキノワグマがかからない括り罠の開発・普及に期待したい。
●98.07.26 当社のホームページをご覧になった九州在住のO氏からと、昨日釣りをしたときに知り合った、岩手県在住のT氏から、次のような目撃情報を入手しました。
(目撃情報/O氏の場合)
O氏が6月27,28日、7月18,19,20日と、西中国地方(匹見町)に釣りに行った際に、両釣行で熊(おそらく子熊)に遭遇したそうです。一回目は、車の中だったそうですが、2回目は突然前方15mぐらいのところに現れ、O氏に気がつついた時点で熊の方が逃げていったそうです。事故につながらなくて、本当によかったですね。
(目撃情報/T氏の場合)
岩手県松尾村を流れる松川の支流、北の又沢で今年の春釣行していたとき、ツキノワグマの親子に遭遇したそうです。堰堤の下に来ると、せき込むような声が何処からか聞こえてきたので、あたりを見回すと、堰堤の上のはじに子連れのツキノワグマがいて、こちらを見て、威嚇するようにせき込むような声を発していたそうです。T氏は走って逃げてもとやられると思い、石の上に座ってじっとしていました。しばらくして(5分ぐらい)ツキノワグマは薮の中に移動していったので、被害はなかったそうです。
●98.07.13 岩手県松尾村村内の各地で、今年はクマの目撃情報が多いそうです。岩手山で続いている火山性地震と関連があるかは不明です。
●98.07.01 新コーナー・「東中国山地のツキノワグマ」(同パンフレット作成委員会)のパンフレットを紹介するコーナーを新設しました。
●98.06.22 岩手県岩手郡雫石町の国道にクマ出没/22日午後4時半頃、雫石町雫石24字佐瀬の国道46号線付近の畑にクマが出没しているのが目撃される。(掲載紙/1998年6月23日岩手日報朝刊)
●98.06.20 盛岡市在住の友人のF氏が、岩手県安代町にある安比スキー場の奥で、道路を横切る大きなツキノワグマに遭遇しました。車の中にいたために、幸いトラブルはありませんでした
●98.06.13 新潟県で人身被害発生:新潟県新発田市の山中で、一人で山菜採りをしていたの男性(81)がクマに遭遇し、攻撃を受け顔や胸などに約3ヶ月の重傷を負いました。クマとの遭遇地点は、菅谷砂防ダムから約1キロ上流です。
●98.06.12 クマと軽乗用車の接触事故/新潟県北蒲水原町堀越の国道で、近くの陸上自衛隊の演習場から飛び出してきたクマと、走行中の軽乗用車が接触する事故が発生しました。実は、1996年に苫小牧市(北海道)近郊にある自衛隊演習場内に、ヒグマが頻繁に出没し、自衛隊員が捨てた残飯や、車の中に置いてあった食料が食べられるトラブルが発生しています。自衛隊も演習場内でのゴミの処理を、きちんとしてもらいたいものです。
●98.06.11 クマの親子が盛岡市内に出没:岩手県盛岡市上米内の県道沿いで、親子連れのツキノワグマが、パトカーで警邏中の警察官に目撃されました。現場の近くには米内小学校もあり、注意を呼びかけている。(掲載紙/1998年6月12日岩手日報朝刊)
今の時期は、子連れのクマが盛んに移動したり、交尾期に備えて親熊が子熊と別れる時期に当たります。別れたばかりの子熊(若い熊)は人間の恐さ(危険性)を十分に知らないし、自分の行動圏(遊動域)を持っていないので、人里に出没し人とトラブルを起こしやすく注意が必要です。
●98.006.10 新刊情報:農文協から、クマ被害防除の専門書「生かして防ぐ クマの害」(米田一彦・著)が出版されました。
●98.006.06 クマと列車の事故/新潟県鹿瀬町深戸地内のJR磐越西線で、クマが列車にひかれ、頭と胴体がバラバラになって死亡しました。推定2才ぐらいの子グマでした。(合掌)
●98.06.04 岩手県で平成10年7月から、ツキノワグマに発信器をつけた追跡調査(ラジオテレメトリー調査)を始めます。平成10年度から4年間かけて、クマの生態調査や農作物の被害防除に見向けての基礎データの収集などを目的とする。また、クマを捕殺せずに被害を防ぐ方法として最近注目されている「奥山放獣」の効果を検証し、人とクマとの共生の手段を探る。(掲載紙/1998年6月4日朝日新聞岩手版/東京本社・東京都中央区築地5丁目3-2/TEL:03-545-0131)
岩手県では昭和62年度〜平成元年度にかけて、野生鳥獣保護調査事業・第1期調査として「日本ツキノワグマ生息実態調査」を実施しています。その調査ではじき出された、岩手県内のツキノワグマの生息数は約1,000頭です。ただし、ツキノワグマのテレメ調査を岩手県内で実施するのは、今回が初めてです。やっと予算を獲得し、実施にまでこぎ着けた岩手県環境保健部自然保護課に拍手!! 今後の調査に期待しましょう。(クマ)
続報:実際に調査がスタートしたのが9月下旬からであった。クマ出没のピークも過ぎ、山に栗やドングリなどが良く実ったことも影響し、まだ1頭も捕獲されていない。(1998年10月29日現在)
●98.05.25 クマが列車にはねられました:岩手県上閉伊郡野田村玉川の三陸鉄道北リアス線米田トンネル内で、5月25日に走行中の列車とツキノワグマが衝突し、クマは死亡した。村内では1週間前からクマが目撃されていたが、列車と衝突したクマと同一かは不明。(掲載紙/1998年5月26日岩手日報朝刊)
岩手県内では過去にも列車とクマとの衝突事故は、年に1件の割で発生しているが、トンネル内での事故は珍しいと思います。(クマ)
●98.05.24 第2回信州ツキノワグマシンポジウムが、5月24日に信州大学(長野県松本市)で開催されました。
●98.05.22 長野県東筑摩郡朝日村のカラマツの植林地で、冬眠中のクマが倒木によって4月のはじめに圧死したと見られる原因は、豊かな自然の森が減ったことによる悲劇と、信州ツキノワグマ研究会では受け止めている。本来ツキノワグマは、しっかり根を張った広葉樹の根本の空洞などで冬眠するが、昭和20年代に国の政策によって10ヘクタールがカラマツに一斉植林されたために、根が比較的浅く倒れやすいカラマツ植林地で冬眠するしかなかったのだろうか。この雌のツキノワグマは、平成9年8月に朝日村で、有害鳥獣駆除で捕獲されたが、信州ツキノワグマ研究会が唐辛子スプレーでお仕置きをし、発信機付きの首輪を付けて山に放したクマだった。(掲載紙/1998年5月22日信濃毎日新聞朝刊/長野本社販売TEL:026-236-3310/松本本社販売TEL:0263-25-2153)
●98.05.22 長野県内でクマのお仕置き放獣が広がる:農作物被害の害獣として有害鳥獣駆除せずに、唐辛子スプレーを鼻にかけるなどして山に放す「お仕置き放獣」(人間とクマとの共存策として信州ツキノワグマ研究会が提唱・実践している)が、平成9年には長野県内で14市町村にまで広がった。ただし、被害農家からは射殺するべきだという意見も根強く残っている。(掲載紙/1998年5月22日信濃毎日新聞朝刊)
●98.05.11 韓国(大韓民国)で絶滅の危機にあるツキノワグマの調査に取り組む、米田一彦氏(日本ツキノワグマ研究所代表)の活動が河北新報で紹介されました。現在韓国に生息するツキノワグマは20頭以下と推定されています。米田氏は韓国環境部(韓国の環境庁)の要請もあって、平成9年から韓国南部の智異山国立公園でツキノワグマの痕跡調査を続けています。予算、人材、生息環境、密猟問題など、状況はかなり厳しいのですが、日本と韓国の研究者がお互いに協力しあい、「日韓ツキノワグマ合同調査プロジェクト」も進められています。(掲載紙/1998年511日河北新報)
●98.05.01 クマの圧死と、クマがクマを食べた話し・・・(「信州ツキノワグマ通信」5月10日発行第14号より)
信州ツキノワグマ研究会(代表・林秀剛)は26頭以上のツキノワグマの調査を、現在長野県内で行っています。その内の1頭が今年4月1日か2日頃、氷雪害のために倒れたカラマツにより、その根本で冬眠してたので、崩れた土砂と雪のより圧死した(推定)ことが、5月1日に確認されました。また、4月16日には、死んだそのクマの死骸を、別のツキノワグマが食べているところが観察されています。詳細は信州ツキノワグマ研究会のホームページをご覧ください。信州ツキノワグマ研究会では会員を募集しています。会費は年額1,000円です。興味のある方は信州ツキノワグマ研究会のホームページをご覧ください。
●98.05 岩手県紫波郡紫波町山屋夏梨子地内で親子連れのクマが目撃されています。(掲載紙/盛岡・紫波・矢巾地域安全推進連絡会議発行・「地域安全ニュース」5月17日号より)
●98.05.05/岩手県内で2件目の人身被害発生:岩手県下閉伊郡川井村小国の山林内で5月5日、一人で山菜採りをしていた男性が、子連れのクマに遭遇し人身被害を負いました。顔や腕などをを引っかかれ軽傷。(掲載紙/1998年5月6日岩手日報夕刊)
●98.04.26 岩手県で人身被害が発生:岩手日報にクマの人身被害が掲載されました(掲載紙/1998年4月27日朝刊19面)。岩手県紫波町赤沢の山林内での事故。男性は顔や顔、両腕に重傷を負いました。(お問い合せ/岩手日報社エ019-653-4111)
(続報)重傷を負った男性は、山(山菜取りや渓流釣り)が好きで、休日には一人又は友人と連れだって山に出かけていた。クマに遭遇したことも何度かあり、クマ対策として携帯ラジオや爆竹を持ち歩いていた。 当日は、ラジオを携帯せず爆竹を持参したが使用していなかった。管轄の紫波警察署では「山にはいるときはなるべく複数で出かける」、「クマ避けの鈴やラジオなどを持つ、音を高くする」と注意を呼びかけています。(盛岡・紫波。矢巾地域安全推進連絡会議発行・「地域安全ニュース」5月17日号より)
●98.04.24 クマが車にはねられ死亡しました。:岩手日報にクマの事故死が掲載されました(掲載紙/1998年4月25日朝刊19面)。平成10年4月24日。岩手県川井村田代の国道106号線での事故でした。ツキノワグマは雄で体長1.2メートル。(お問い合せ/岩手日報社エ019-653-4111)
●鳥獣保護及び狩猟制度の改正案が、今環境庁で検討されています。
●98.02/今年も阿仁町熊牧場(秋田県北秋田郡阿仁町)にツキノワグマの赤ちゃんが7頭産まれました。生まれたばかりの赤ちゃんの体重は約300gです。同熊牧場は冬期間休園中ですが、今春は4月29日に開園する予定です。
問い合わせ先:阿仁町熊牧場 住所:秋田県北秋田郡阿仁町打当字陣屋 エ0186-84-2264
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