アイコン ツキノワグマ情報 1998.03〜1998.12.16


各地でクマによる人身事故が発生!! 荒食いの季節は山が危険(1998.9.29) 
 秋はヤマブドウやサルナシなどのショウ果類や、ブナやクリ、ミズナラ、コナラなどの堅果類の実りの季節です。そして、クマにとっても、冬眠や出産に備え、普段にもまして大量の食べ物を摂取しなくてはならない「荒食い」の季節でもあります。山に木の実がなる時期になると、それまで畑や果樹園を荒らしていたクマも、一旦山に戻ります。ただし、山の木の実が不作の年は、遠方まで餌を求めて移動したり、人里に出没して農作物や果樹に甚大な被害を発生させます。そして、人間にとっても、キノコ採りやヤマブドウ採りの季節でもあります。

 クマのいるところに、わざわざたくさんの人間が行くわけですから、春の山菜採りやタケノコ採りの時期と同じように、クマと人とが遭遇する確率が高くなり、当然クマによる人身被害も、毎年各地で多発します。クマが人里に出没すると、有害鳥獣駆除されますが、人間がクマの生息地に出没し、クマを目撃したり、人身被害を受けると、やはりクマが有害鳥獣駆除される市町村が多いようです(岩手県では山でクマを目撃しても、山で人身被害を受けても、有害鳥獣駆除の対象にはなりません)。人身被害に遭われた方にはお気の毒ですが、(クマが生息している)山にはクマがいて当たり前です。クマに出会わない、クマと遭遇しても攻撃を受けない工夫を、ぜひ人間の知恵で行って下さい。当社のホームページには、役に立つヒントがたくさん紹介されています。皆様のお役に立てれば幸いです。


全国的にクマの出没・目撃例が激増中! その原因は何?(1998.9.21)
 
当社はクマの被害防除法の啓蒙と普及を中心に、公私ともに活動している、おそらく日本で唯一の私企業です。そんなわけで、盛岡市という東北の地方都市にいながら、毎年クマの季節になると、日本全国からクマ被害防除の相談や、情報が数多く寄せられています。
 北海道では各地で市街地付近でヒグマの出没が確認され、それにともなって一般人がヒグマを目撃する機会が増えています。マスコミでも大きく報道された、小樽市のヒグマ騒動はその象徴的は事例です。また、知床国立公園に接している羅臼町と斜里町でも、同様に市街地付近へのヒグマの出没が、「異常」と言えるほど激増しています。斜里町役場が行っている「ヒグマ目撃アンケート調査」は、まもなく600件を数えようとしています。
 多少の地域差があるとしても、本州でも状況は似ています。岩手県でも県南、県央、県北、沿岸南部、沿岸北部、奥羽山麓沿い、北上山地・・・すなわち、全域でツキノワグマが出没しています。東北、北陸、中部、東中国、西中国の各エリアから、クマの出没情報や、被害防除の相談が寄せられています。
 ではいったい、何が原因で市街地付近へ出没するクマが、今年は激増しているのでしょうか?
クマは人間が好きになったから、人間の世界を勉強しようとして市街地までノコノコ出てきたのでしょうか?
答えはノー!!です。
 クマをはじめ、ほとんどの野生動物は人間が嫌いです(人間が好きだという野生動物を、残念ながら私は知りません)。微笑ましいニュース(と思っているのはマスコミのレベルが低いからです)のネタになる、キタキツネやタヌキ、ニホンザルなどが観光客に近づいたり、庭にやって来るのは、餌をもらえるから近寄ってくるだけの理由です。すなわち人間は野生動物を「餌付け」し、野生動物は人間を食べ物を与えてくれる動物だと「学習」しているだけのことです。
 ヒグマやツキノワグマの異常出没も、クマの専門家や研究者の間では、これと同じ状況だと考えられています。危険を冒してまでクマが市街地や集落近くにまで出没する理由は、ズバリそこに「食べ物」があるからです。人間が投げ捨てた弁当の残飯、ジュースやコーヒーの空き缶、畑に蒔いたり埋めたりした残飯や野菜屑、コンポストの生ゴミ、自動販売機の横に置かれたままの空き缶入れ、生ゴミや堆肥、食品加工品のカス等の悪質な不法投棄・・・・ゴミの収集所におかれた生ゴミを狙っているのは、カラスや野良犬、野良猫、ネズミだけではありません、クマもそれを狙っています。
 クマの異常出没の原因を作り出した犯人は、私たち人間です。しかし、裁かれる(駆除される)のはクマです。この事実を多く人に知ってもらいたいと思います。その上で、きちんとした被害防除対策をしなくてはなりません。原因を正しく認識し、原因を除去しない限り、クマを殺しても殺しても、また別のクマがやってくるのです。決して問題解決はできません。

クマ出没警報!!
(1998.8.8)
7月中旬から、クマ出没の情報や被害防除のご相談が、全国からたくさん寄せられています。8月8日になっても、東北はまだ梅雨が明けません。春の異常な暖かさの反動でしょうか? 8月からは、クマにデントコーンが狙われます。そろそろ桃や梨の被害が発生する頃ですが、例年よりも生育が早まっているリンゴの被害も、8月下旬から本番になります。 山の木の実が不作の場合には、クマ異常出没の可能性が高まります。特に今年は目が離せません。

これからがクマ被害の本番!(1998.7.14)
●6月、7月は、今年の冬に出産した子グマを連れている母グマや、交尾期前に母グマから離された若グマ(前年の冬に生まれた子グマ)が、思いがけない場所に現れます。子連れの母グマや人間の恐さを知らない若グマは、突然人間と遭遇した場合に、人に危害を加える可能性が高く危険です。また、5月下旬から8月中旬までの交尾期は、力の強い雄グマに若い熊は追い回されたり、子連れの雌グマは子グマを守るために(雄グマは連れている子グマを殺してまで、雌グマと交わろうとします)殺気立っているので、やはり危険です。

●7月、8月は山野にはクマの食料が乏しい季節です。そこで、餌を求めて人里近くまで出没し始めます。畑に捨てた残飯、コンポストのゴミ、観光施設の残飯、自動販売機わきに置かれた空き缶用のゴミ箱、キャンプ場の残飯、お墓のお供え物・・・クマに狙われやすいので注意が必用です。

●7月下旬頃から、クマは果樹園やデントコーン畑に出没し、果樹やデントコーンの育ち具合をチェックしています。デントコーンの被害は、例年8月10日頃から収穫を終えるまで続きます。桃、梨、リンゴ、柿、栗などの果樹被害は、実が熟し始める収穫期から、収穫を終えるまで続きます。
電気柵を設置するなど、被害が発生する前の早期の対策が必要です。

今年の熊の出没予想(1998.3.24)

●今年の冬は積雪が少なかった上に、2月下旬から暖かい日が続き、例年よりも雪解けが早いようです。
3月になると東北地方のクマも、山では既に活動を始めています。冬の間に出産した熊はまだ穴の中にいますが、もうしばらくすると、赤ちゃん熊が穴から顔をのぞかせるかもしれません。

 雪どけが早いと山菜採り之季節も早く訪れます。つまり、それだけ人が山に入る時期が早くなるので、当然クマと遭遇する時期も例年より早くなります。今年は人身事故も、件数的に増える可能性があります。クマの生息地に行くときは、ぜひ注意してください。


●98.12.16  米田一彦氏の新刊、『月の輪熊は山に帰った!』(大日本図書)が出版されました。
●98.12.15
  ツキノワグマの写真:米田一彦氏(日本ツキノワグマ研究所長)からご提供いただいた、ツキノワグマの写真をアップしました。

●98.12.09
  四国のツキノワグマ:当社のホームページをご覧になった、愛媛県在住んのA氏からお寄せいただいたクマ情報です。11月14日にNHKの朝の地元番組では、高知県物部村で養蜂業者がクマに蜂蜜を食べられた話題が放送されたそうです。四国4県でのツキノワグマの生息数は、20〜30頭と推測されています。四国のツキノワグマは、既に種の維持さえ困難な状態です。現在、徳島ツキノワグマ研究家と高知県生態系保護協会が、四国のツキノワグマの調査を行っています。貴重な情報をお寄せいただいたAさん、どうもありがとうございました。

●98.11.09
  広島県吉和村で人身被害発生広島県吉和村で、今年12月オープン予定のスキー場で、リフトの配線の仕事をしていた電気工事会社の社長(男性59)が、下山途中にクマと遭遇し人身被害を受けました。作業は3人で行っていましたが、別々に下りてきたそうです。広島県では、昨年10月に発足した「ツキノワグマ障害保険制度」に基づき、損害保険会社に治療費を請求すること発表しました。
 「ツキノワグマ障害保険制度」とは、クマの保護施策を進めている広島県が、ツキノワグマによる人身被害を補償するために全国で初めて作った制度です。この制度は、県と県内8市町村が掛け金を負担しています。保険の適用範囲は、8市町村内で被害を受けた住民や観光客で、入院保険金が1日1500円、通院には1日1000円が支給されます。死亡時や後遺症には、最高500万円が支給されます。同様の保険制度は島根県でも発足しています。今回、顔などに2,3週間の怪我を負って入院した男性は、この保険制度の初適用となりました。(中國新聞98年11月10日)


●98.11.02  クマ射殺:11月2日午前7時25分頃、兵庫県豊岡市江本地区にクマが出没し、豊岡署員や地元消防団員約70人が出動し捜索した。午後4時45分にビニールハウスの中にいるクマが発見され、市長の要請を受けた猟友会のハンターによって有害鳥獣駆除された。(神戸新聞98年11月3日)

●98.11.01
  兵庫県美方町で人身被害発生兵庫県美方郡美方町で、11月1日午後2時頃、長男とお墓参りを終えて、杉林を歩いていた地元の女性(73)が、突然現れたクマに左足付近を噛まれた。先に歩いていた長男をやり過ごしてから、後ろを歩いていた女性に襲いかかったらしい。長男は持っていたナタでクマの頭をたたき、追い払ったが女性は全治1ヶ月の重傷を負った。(神戸新聞 98年11月2日)

●98.10.27
  ツキノワグマが役場に侵入:10月27日の午後7時10分頃、兵庫県出戸郡但東町出合の町役場庁舎1偕に、体長1メートルのツキノワグマが1頭侵入した。クマは約15分間役場の中をうろつき、南側通用口から出ていった。約10人の職員が残業していたが、安全な場所に避難したので、幸いけが人はなかった。クマは役場となりの町民ホールの自動ドアから入り込み、通路を仕切る扉が開いていたことから、同庁舎1偕フロアに入ったらしい。(神戸新聞 98年10月29日)

●98.10.23
  岩手県遠野市でも、一旦山に戻ったクマが、またリンゴ園などに出没していると、地元のハンターから連絡がありました。秋田県阿仁町のマタギのシカリから聞いた話ですが、クマの冬眠は12月の冬至の前後2週間だということです。クマの生息地の山に、キノコ採りに行く人も、例年クマが出没している、果樹園の付近の人も、まだまだ注意が必要です。

●98.10.21
  岩手県でも人身被害発生:10月21日に岩手県湯田町の割倉山付近の山林で、犬を連れてキノコ採りをしていた男性(62)が、親子連れらしい2頭のクマに遭遇した。逃げようとしたが、頭を引っ掻かれて軽傷を負った。
 また、岩手県玉山村生出の生出スキー場付近で、農作業中の女性がクマを、21日の午後0時50分頃に目撃した。
(岩手日報98年10月21日朝刊)

※注意! 山に犬を連れて行き、クマと遭遇した場合、クマに攻撃されやすい場合があるので注意が必要です。犬がクマに吼え、クマを興奮させてしまい、かえって攻撃を誘発させる場合です。また、放した犬がクマと遭遇し、クマに追われて、飼い主の方にクマを連れてくる場合があります。逆に、犬が吠えてクマが逃げ出す場合もあります。ただし、クマ対策の訓練を受けた特殊な犬であれば、一緒に連れて歩いた方が安心だと思います。米国ではクマ対策に、カレリアン・ベアードッグという特殊な犬が利用され、最近注目を浴びています。

●98.10.20
  山口県の人身被害の続報:山口県在住のお客様から、中國新聞に掲載された記事がFAXで届きました。どうもありがとうございました。要約してご紹介いたします。
 19日にクマに遭遇して人身被害を受けた男性は、地元猟友会のベテラン・ハンターだそうだ。近所の人には「親子連れのクマには気を付けるように」と、日頃注意していたそうだが、残念なことにご自身が親子連れのクマに遭遇し、親グマから顔に十数カ所、両腕に十ヶ所前後引っかかれてしまった。事故が起きた山口市二保上郷は、山口市の中心から約15キロ北東に位置し、現場は民家からは3〜4キロ離れている山林です。1〜2年前から子連れのクマが出没していたそうだ。(中國新聞 98年10月20日)
 今年の山口県でのクマの目撃・出没情報は69件になり、ドングリが不作でクマの出没が多かった96年度の61件を越えてしまった。「以上出没」の原因について山口県自然保護課も「クマが増えているのか、自然環境が悪化したのかよく分からない」とコメントしている。これまで目撃情報の少なかった県央部と周辺、宇部市、厚狭郡楠町などで目撃されているのが、本年度の出没の特徴だということです。


コメント)クマの目撃情報について:ある地域で1頭のクマが複数の人に目撃された場合、1頭のクマ何頭にも化けてしまうことがある。また、出没地域が比較的集落に近い場合、人に目撃される可能性が高いので、目撃件数は増加する。出没や目撃件数が例年よりも増えたからいって、短絡的に「異常出没」と考えるのは誤りではないだろうか。何が原因で目撃・出没件数が増えたのかを、専門家を交えて科学的に調べ、対策を考えるべきではないだろうか。推定生息数が200〜300頭という、危険な状態にある西中国山地の中でも、山口県は他の広島県や島根県と比較しても、クマの生息数は少ないと考えられている。山口県、広島県、島根県にまたがる西中国山地では、94年から環境庁がクマの捕獲を禁止いている。ただし、有害鳥獣駆除による捕獲(捕殺)は認められている。

●98.10.20
  各地のクマ情報:今年の秋は、岩手県内各地ではクリやドングリが豊作です。9月半ばまで県内各地でデントコーン畑や果樹園を荒らし、人家付近まで出没していたクマ達も、既に山に戻り、クリやドングリ、コクワ(サルナシ)をたらふく食べていることでしょう。岩手県について言えば、クマ情報が止まっています。
 先日、和歌山県の紀州山地野生野生鳥獣保護友の会代表のS氏から電話をもらいました。紀州のツキノワグマはギンナン(銀杏の実)も食べるそうです。紀州山地野生野生鳥獣保護友の会では山にクマのエサを増やすために、これまでもブナなどの実のなる木の植林を行っています。今後は、ヤマブドウの苗木を種から育て、来年から山に植えていく予定だそうです。
 新潟県在住の方から、今年は山栗が不作で、クマがまだ里付近に出没しているという情報を、お寄せいただきました。新潟県は昨年も12月に入っても、クマの出没騒ぎがありました。さて、皆様のお住まいの地域では、山の木の実はいかがでしょうか?


●98.10.19
  山口県で人身被害発生:10月19日午前11時頃、山口市仁保上郷の山林で、松茸採りをしていた男性(71)が、ツキノワグマの親子に遭遇し、親グマに攻撃を受けた。男性は顔や腕などをひっかかれるなどの重傷を負った。(共同通信ニュース速報 98年10月19日)

●98.10.15
  10月15日発売の月刊誌山と渓谷社11月号(山と渓谷社)の特集・「山の常識大研究」で、「山でクマに会ったら死んだふりをすれば助かるか? 助からないか?」について、米谷一彦氏(日本ツキノワグマ研究所代表)が答えています。答えを知りたい方は本を購入してp38〜p40をご覧ください。当社の熊撃退スプレー「カウンターアソールト」も写真入りで紹介されています。

●98.10.15
  青森県青森市の山内丸山遺跡の発掘現場から、全国でも珍しい縄文時代後期の熊型土偶が見つかった。同遺跡では今年5月にも熊型土偶が見つかっているので、今回の発掘は2例目である。(共同通信ニュース速報 98年10月15日)

コメント)縄文時代後期の熊型土偶は全国でも数例しか発掘されていない。岩手県北上市にある縄文時代の遺跡からも、熊型土偶が発掘されている。北上市立鬼の博物館で展示しています。

●98.10.08 
クマの密猟事件 Vol.2:読売新聞岩手版(98年10月8日朝刊)に岩手県山田町で発覚した、クマの密猟事件の記事が掲載されました。とても素晴らしい内容の記事なので、できれば全文掲載したいのですが、著作権法に違反するので、要約したものを載せます。この記事をぜひ読みたいという方は、読売新聞社盛岡支局にお問い合せください。

 7月30日朝に山田町織笠の山林で、違法な「くくり罠」にかかったクマが暴れているのを、近くの住民が発見し、事件が発覚した。通報を受けた山田町役場から、岩手県宮古地方振興局(県の出先機関)と岩手県警察宮古署に連絡された。両機関の職員が現場に駆けつけて、見た光景は凄まじかったそうだ。くくり罠のワイヤーがクマの胴体に食い込み、血が流れいた。苦しみもだえて激しく暴れるクマによって、近くにあった廃車のトラックが横倒しになり、そのトラックを噛んだためか、クマの歯もボロボロに欠け、とても痛ましかったそうだ。 県宮古地方振興局では麻酔をかけ、わなを外して放獣することも検討した。しかし、付近には人家もあり、手負い状態のクマを放獣すれば人身被害の危険もある。止む終えなく有害鳥獣駆除の許可を出し、30日中に地元猟友会に委託して射殺処分をした。宮古署で「鳥獣保護法違反事件」として捜査をしている。県自然保護課のコメント、「クマの密猟はここ数年間聞いたことがない。残念だ。」も載っていました。このような悲惨な事件が2度と起こらないように祈りたいものです。

【この記事に関してのお問い合せ先】
  読売新聞社盛岡支局
  岩手県盛岡市中央通1-7-27
  TEL:0196-53-1441

 環境庁内では鳥獣保護法(鳥獣保護及び狩猟に関する法律)の改正案作りが現在進められています。現行の法律では、密猟は6ヶ月以下の懲役、30万円以下の罰金と定められています。以前、岩手県内でカスミ網による密猟現場を発見し、密猟事件の捜査に協力したことがあります。「暴力団関係者がこずかい稼ぎで、カスミ網による小規模な密猟をするのが増えている」と、その時担当された警察署の方が教えてくれました。現行法では罰則も罰金も軽すぎると思います。以前聞いた話ですので、私の勘違いかも知れませんが(間違っていたら申し訳ない)、ある国ではクマの密猟は「死刑」だそうです!死刑はオーバーかも知れませんが、密猟は「懲役10年、罰金500万円」程度は厳しくしてもらいたいものです。このくらい厳しくすれば、密猟する人も減るでしょう。「鳥獣保護法違反」の犯人を捜査する警察も、捕まえれば(国庫に入る罰金が増えるのですから、裁判で罰金刑になった場合)国庫が潤うわけですから、今まで以上に捜査に熱が入るのではないでしょうか。鳥獣法改正に関するホームページを紹介します。

・鳥獣保護法「改正」を考えるネットワークの会員募集
 
http://www.asahi-net.or.jp/~zb4h-kskr/wild-law.htm
・鳥獣保護法改正を考えるネットワークのホームページ(環境庁の関連ホームページにもリンクしています)
 
http://www.jca.ax.apc.org/~kuzunoha/home.html

●98.10.05 クマの密猟事件発生:元総理大臣の故鈴木善幸氏の出身地、岩手県山田町で、今年、クマの密猟事件が発生していたという情報を、本日入手しました。マスコミなどには、なぜか報じられていないそうです。ニュースソースはお答えできませんが、この情報を読んだマスコミ関係者が、独自に取材されても差し支えないと思います。

詳細は不明ですが、狩猟法で禁じられている「くくり罠」にかかって、苦しみ暴れているツキノワグマが発見されたので、この事件が発覚したそうです。くくり罠とは、針金でつくられた輪と、スプリングで構成された罠です。その輪に胴体や、手足が入ると、スプリングの留め金が外れて輪が締まります。動物がもがけば、もがくほど針金が体に食い込み、動物に大変な苦痛を与えます。結局、手負いと同じ状態のクマを罠から外して放獣しても、人身被害を発生させる危険があるので、不幸なクマはその場で射殺されたそうです。法的には有害鳥獣駆除で射殺されましたが、クマは全くの被害者です。警察でも密猟者を捜しているそうですが、まだ犯人は捕まっていません。私は正規の狩猟自体は賛成ですが、不正な狩猟には反対です。密猟行為は、多くのまっとうなハンターに悪い印象を与えます。早期に汚い密猟者、犯人が捕まることを強く希望いたします。

●98.10.01 朝日新聞岩手版で連載された「クマとヒトと森と共存のために」が終了:9月17日から6回に分けて連載された、「クマとヒトと森と共存のために」が本日終了しました。連載のタイトルを紹介いたします。

  1998.09.17 第1回目 
「ニアミス」季節ごとに
  1998.09.18 第2回目 「山の状態を映す<駆除>数」
  1998.09.23 第3回目 「不作の度合 行動域に影響」
  1998.09.25 第4回目 「エサの状態が出産率左右」
  1998.09.30 第5回目 「個体群の綿密な調査必用」
  1998.10.01 第6回目 「生息地守る根本的対策を」
  ・執筆者紹介 農林水産省森林総合研究所 東北支所主任研究官 大井 徹 氏
  
お問い合せ先:朝日新聞社盛岡支局 エ019-624-2211

●98.09.27 
富山県で人身被害発生:9月27日の正午頃、富山県福光町館の山林で、草刈中の地元の男性(64)がクマによる人身被害を受け左腕骨折など負傷した。(共同通信ニュース速報 98年9月27日)

●98.09.21 福井県で人身被害発生:当社のホームページをご覧になった、京都府在住のO氏からクマ情報が寄せられました。9月21日、福井県越前大野市下打波で、木の実獲りの人がクマに襲われ重傷ということです。O氏自信も、長野県奈川村で約5mぐらいの距離で、クマに遭遇したことがあるそうです。それ以来、撃退スプレーは、肌身離さずお持ちになっているそうです。本当にどうもありがとうございます。それにしても、事故にならなくて幸いでした。
 福井県の事故について少し補足します。9月21日にクマの攻撃を受け、頭に大けがをされた地元の男性(69)は、トチの実を採っていたそうです。

●98.09.20 山形県で人身被害発生:9月20日午前8時頃、山形県新庄市五日町小泉の山中で、キノコ狩りをしていた地元の男性(59)がクマの攻撃を受け、顔などに軽傷を負いました。(共同通信ニュース速報 98年9月20日)

●98.09.19~20 人間とクマとの共存策を模索する「第6回クマを語る集いin阿仁」(主催/クマを語る集いin阿仁実行委員会)が19日から二日間の日程で、秋田県阿仁町のふるさと文化センターで開催された。平成5年から民間のクマ研究会が中心となって開催していたが、今回は町関係者が実行委員会を組織した。北海道から島根県までのクマの研究者、行政担当者、猟友会関係者、自然保護NGO関係者など、約120人が参加した。(秋田さきがけ98年9月20日)

●98.09.17 9月17日発売の朝日新聞(岩手版)から、「クマと人と森 共存のために」という連載が始まりました(執筆/森林総合研究所東北支所の大井徹研究官・理学博士)。第1回目は<(1)クマ騒動カレンダー 「ニアミス」季節ごとに>というタイトルで、1年を通したクマと人との遭遇、被害発生について書かれています。(朝日新聞岩手版98年9月17日)
       
お問い合せ先:朝日新聞社盛岡支局 エ019-624-2211

●98.09.13 岩手県で人身被害発生:岩手県湯田町桂子沢地内の山林で、13日午後3時半頃キノコ取りをしていた男性(51)が、3頭の子連れのクマに遭遇した。1頭が前足で男性の右目付近を殴打して逃げた。同町内では、今年各地でクマの目撃情報がある。(岩手日報98年9月14日夕刊)

●98.09.11 岩手県は県道工事による自然破壊が指摘されている、県道雫石東八幡平線(通称・奥産道/奥地産業道路)の工事のあり方を考える道路検討委員会(委員長・村井宏・元岩手大学大学院教授)の会議録を全面公開した。その中で、「ツキノワグマの生息地域を、奥産道が突っ切るのはかなり問題だ。」など、全体として工事継続を求める意見は少数だったことが分かった。(岩手日報98年9月12日朝刊)

●98.09.09 山口県鹿野町で、イヌを連れて散歩中だった男性(81)がクマと遭遇した。犬が吠え続けていたため、クマは逃げていき被害はなかった。(岩手日報98年9月10日夕刊)

●98.09.03 岩手県大船渡市在住のI氏より、五葉山の麓の日頃市地区で、クマが出没しているという情報が寄せられました。
五葉山山麓の五葉牧野周辺には、以前からクマが生息しています。昨年生まれた子グマを連れていた母グマが、5月頃子を放したそうです。親子3頭に別れたクマが、五葉牧野周辺から日頃市地区に、頻繁に出没していると言うことです。五葉牧野周辺に沢が流れていて、以前も渓流釣りに来た人が、二人ほど人身被害にあっています。

●98.09.02 米国やカナダではアメリカン・ブラックベアやブラウン・ベアが、アジア極東(中国、韓国、台湾など)の熊の胆の需要の犠牲となって、たくさん密猟されている。ワシントン条約で熊そのもの、並びに部位(体の一部)の輸出入が禁じられているが、アジア系のマフィアなどが暗躍し、大きな社会問題となっている。また、ロシアにおいても、同様の理由で、ヒグマがたくさん密猟されている。(THE JAPAN TIMES 98年9月2日)

●98.09.01 
奇跡の捕獲! 岩手県盛岡市上米内地区周辺で頻繁に出没していたツキノワグマ親子3頭は、31日午後2時半までに、同地区明通で相次いで捕獲された。3頭は同日午後6時、捕獲地から20キロほど離れた同市東部山間地に放された。この親子グマは、6月上旬からこの周辺に頻繁に出没を続け、8月には、デントコーン被害を発生させている(17件)。8月29日には、上米内地区明通の畑で、デントコーン約1000本が食い荒らされている。(岩手日報98年9月1日朝刊)
コメント)まさに奇跡が起こった!8月31日に岩手県盛岡市で行われた、親子グマの捕獲放獣は、「奇跡」と表現して過言ではなかった。まず始めに、この困難な作業を実現させた、盛岡市と有害鳥獣駆除対策協議会のメンバー各位、被害に遭いながらも我慢し続けた被害農家、クマ出没に怯えながらも堪え忍んできた地域住民の皆様に御礼と感謝、ねぎらいの言葉を捧げたいと思います。本当にご苦労さまでした。
捕獲放獣に立ち会い、捕獲されたクマを麻酔で眠らせた知人の獣医師から、今朝、詳しい話を聞くことができた。捕獲前は、最悪の事態(子グマだけが罠にかかり、親グマが外にいる等)も想定して、関係者の間で様々な議論がされていたそうだ。幸い、最初に親グマがドラム缶罠に入っていた。関係者が現地に着いたときには、子グマがそのドラム缶罠の周囲を走り回っていた。有害鳥獣駆除対策協議会のメンバーの判断で、親グマが捕獲されている罠の近くに、別のドラム缶罠を設置した。約2時間後に、子グマが1頭捕獲されていた。別の1頭はドラム缶罠のそばで寝ていたそうだ。獣医師が吹き矢式の麻酔針で眠らせて捕獲を試みたが、矢は外れ、目覚めた子グマは逃げ出した。幸い、近くから鳴き声が聞こえるので、ドラム缶罠で捕獲された子グマを、一旦別の檻に移動し、再度そのドラム缶罠を設置した。さらに約2時間経過し、関係者が現地に行ってみると、なんと残りの1頭もドラム缶罠の中で、おとなしくしていたそうだ。その後、3頭の親子グマは盛岡市東部山間地(詳しい場所は非公開)に移動され、夕闇迫る頃になって、無事に放獣された。関係者も幸運が連続して起こったことに驚いていたそうだ。クマも殺されず、人的事故も発生せず、本当に良かったと思う。
それから、新聞報道では、捕獲された子グマは、昨年生まれクマだと書かれていた。しかし、捕獲放獣に立ち会った獣医師の話では、母グマの乳を摘むと、乳汁がでてきたので、子グマは今年生まれものだと確信しているそうだ。

●98.08.29 岩手県盛岡市上米内地区周辺に出没している、クマの親子の記事が岩手日報にまた掲載になりました。新聞報道によると、同地区の目撃情報は6月1日に第一報が寄せられ、その後3ヶ月間に25回の目撃・被害情報(内被害情報は16回で、デントコーン畑が被害を受けている)が盛岡東署や市役所に寄せられているそうだ。今回の記事にはクマ出没マップが掲載されている。出没地点と目撃された日にちが記されていて、クマの行動を知る上でとても興味深い。また、記事の中には、担当している盛岡市農地林務課のコメント、住民のコメント、研究者のコメントが載っていて、それぞれの立場、考え方を端的に表している。(岩手日報98年8月29日朝刊)
・盛岡市農地林務課のコメント/現在鉄格子式とドラム缶式の二つの捕獲用罠をかけているが、奥山放獣を前提にしている。銃を使用せず、あくまで山に追い返したい。
・住民のコメント/襲われたら誰が補償してくれるのか。被害はたいしたことはないが、畑にでるのが恐い(被害農家)。地域住民の大半が早急に駆除を望んでいる(出没地域の主婦)。
・行政と住民が警戒を怠らなければ人的被害は人的被害を防止できる。デントコーンの収穫を終えれば、奥山に移動するはずなので、できればそっと見守って欲しい(野生動物の研究者)。
盛岡市農地林務課・・・岩手県盛岡市内丸12-2  電話 019-651-4111
盛岡東署生活安全課・・・岩手県盛岡市内丸   電話 019-54-3111(代表)
コメント)単独のクマであれば、ドラム缶式の罠で捕獲し、熊撃退スプレー(唐辛子スプレー)でお仕置きし(人間の怖さを教え)、戻ってくることが不可能な遠方に放獣することが可能だと思う。今回のケースは親子3頭なので、3頭を同時に罠で捕獲するのは不可能に近い(遠野市のドラム缶式罠には、一度に2頭捕獲された例がある)。親が捕獲されれば、子グマは逃げないので、子グマも捕獲できるかもしれない。逆の場合は、罠にかかった子グマを助けようとして、親グマがキチガイのように暴れ回るので、かなり危険である。暴れ回るクマを、麻酔銃を使って眠らせて捕獲した例は、たぶん日本にはないかもしれない。出没地域には住宅や小学校、団地があり、住民感情として「捕まえて殺せ」というのも理解できる。ただし、クマを捕まえて殺すのは、自分ではなくて他人(猟友会)というわけである(法的にも勝手に捕まえて殺すことはできない)。デントコーンの被害であれば、畑の周囲をクマ防除簡易電気柵で囲えば、ほとんど防ぐことができる。いずれにしても、自主的に山に戻ることをクマにお願いしたい・・・人間に殺される前に。

●98.08.28 鳥取県国府町でツキノワグマが有害鳥獣駆除されました。
      鳥取県米子市在住のI氏より寄せられた情報です。情報提供ありがとうございます。
「8月28日早朝、鳥取県国府町の雨滝に仕掛けられた箱わなにかかっているツキノワグマが見つかった。14日に養蜂箱40箱が全て壊される事件が発生し、国府町が有害鳥獣駆除の許可を県に求め、21日からわなを仕掛けていたもの。 捕獲を知った兵庫県の日本熊森協会が射殺中止を県と町に要請し、県が動物園等に受け入れを打診したが、受け入れ先が無く、結局射殺された。 捕獲されたツキノワグマは体長157cm、体重約100kgで、5歳くらいのメス。ツキノワグマが国府町で捕獲されたのは、平成7年に2頭捕らえられて以来。県内では昨年、3頭が捕獲されている。」(日本海新聞98年8月29日)

●98.08.27 岩手県田野畑村は、果樹園などを荒らすクマを撃退するために、本年度、電気牧柵を村内20ヶ所に導入する。これは、農水省の補助によるモデル事業で、クマを対象とするのは全国初めて。今月6ヶ所に設置したが、今のところ被害の報告はない。(岩手日報98年8月27日朝刊)
コメント)今月導入した6基の電気牧柵システムは、当社が納めたクマ被害防除簡易電気柵です。既に、多くの地域でクマ被害防除に高い実績があります。クマ被害防除簡易電気柵について詳しく知りたい方は、ここをクリックして下さい

●98.08.25 岩手県盛岡市上米内にまたクマが出没し、人家から50メートル離れたデントコーン畑に被害が発生していた。(岩手日報98年8月26日夕刊)

●98.08.25 岩手県盛岡市上米内にまたクマの親子が出没し、デントコーン畑が荒らされた。近くに幼稚園や小学校があり、父兄が園児を迎えに来たり、集団下校したりしている。上米内地区と桜台、山岸地区では、今年の6月以降クマの出没が相次ぎ、目撃情報だけでも22件に上がっている。(岩手日報98年8月26日朝刊)

●98.08.25 盛岡地区有害鳥獣駆除対策協議会では、盛岡市上米内の国道455号近くの山の斜面に、クマ捕獲用の箱罠を設置した。捕獲したクマは山に放獣する予定。(岩手日報98年8月25日夕刊)
(コメント)新聞に写っていた箱罠は、通称田中式檻と言われ、捕獲高率の高い箱罠である。新聞には「捕獲したクマは山に放獣する予定」と書かれてあるが、鉄パイプを溶接して作られた罠なので、捕獲されたクマは中で暴れ、上下の歯がボロボロになるまで鉄パイプをかじり、前足の爪が折れるまで鉄パイプを引っかき回す。そのような状態になったクマは手負いと同じで、山に放しても人を襲うなどの可能性が高く危険である。つまり、この箱罠を使うと言うことは、「捕獲したら殺す」と言っているような物である。捕獲放獣を目的とした捕獲罠には、通常ドラム缶を2つ連結させたドラム缶罠(間野式)が使用される。中に入ったクマを、傷つけずにおくためだ。読者は、新聞報道を鵜呑みにしてはいけない。そこに隠されている意味を、読みとらなくてはならない。

●98.08.22 岩手県千厩町で午後1時頃、清田字峠下(室根村との境の農村地帯)でクマが目撃された。町は有線放送などで注意を呼びかけた。(岩手日報98年8月23日朝刊)

●98.08.22 8月18日に見てきた沢内村のデントコーン畑に、クマ被害防除簡易電気柵を設置してきました。18日以降もクマが出没していて、被害面積は拡大していました。電柵を設置したので、これでこの畑はクマの被害が止まります。設置後にデジタルボルトメーターで、ワイヤーに流れる電流の電圧を測定したら、なんと9,000ボルト以上(出力を強にした場合)の通電に成功したことが判明しました。

●98.08.21 当社で確認している、岩手県内でクマの出没が確認されている地域は次の通りです。盛岡市、雫石町、滝沢村、松尾村、遠野市、釜石市、田野畑村、野田村、岩泉町、金ヶ崎町、北上市、沢内村、湯田町、衣川村、一関市、花巻市、川井村。紫波町、千厩町。その他の地域でも、クマは出没していることが推測されます。最新の情報は、現地の役場か警察署などにお問い合せください。

●98.08.20 岩手県一関市厳美町の須川温泉付近に再びクマが出没した。一関市、一関地方振興局、一関署、須川の自然を考える会の会員らが、爆竹などで追い払う。万一に備え、登山道の一分を閉鎖する。同温泉には8月10日、11日にも体長150センチのクマが出没している。(岩手日報98年8月21日朝刊)
(コメント)国定公園栗駒山の登山道にある須川温泉は有名な観光地で、この季節は登山客などがたくさん訪れる。施設の残飯や観光客の残したゴミや空き缶がクマなどの野生動物を誘引している可能性もある。それらのゴミの処理を徹底しない限り、クマは再び出没します。特に、中高年の異常とも言える登山ブームによって、山に捨てられるゴミの量を増えるばかりです。それらのことによって、出没したクマが有害鳥獣駆除されたとしたら、明らかに非は人間の側にあります。ここと同じ問題は、全国の観光地やキャンプ場で起きています。
●98.08.19 午前5時半頃、岩手県盛岡市上米内のトウモロコシ畑で、親子グマ3頭がトウモロコシを食い荒らしているのを、畑の所有者が目撃する。現場は県道上米内湯沢線の姥懐橋から約400メートルの地点。親子グマは家畜用のトウモロコシ約150本を食い荒らしていた。(岩手日報98年8月19日)

●98.08.18 米を食い荒らすクマの話し:岩手県和賀郡沢内村貝沢に、クマ被害防除簡易電気柵設置の下見に行って来ました。家畜の飼料用のデントコーンは、まだ実が小さい状態でしたが、この日の朝に食い荒らされたと思われるデントコーン畑もありました。農協や農家の方のお話では、今年はクマの出没が例年よりも早く、お盆期間中も、お墓のお供え物がきれいに食べられていたそうです。また、驚いたことに、沢内村では米(稲穂)がクマに食い荒らされる被害も発生していると言うことです。遠野市のハンターからも、稲を食べるクマの話しを先月聞いたばかりでした。広島県の山間地では、4,5年前からクマが稲を食べています。クマによる米の食害が全国的に広がれば、今まで以上に大きな問題に発展することでしょう。とても心配です。
●98.08.17 岩手県北上市和賀町の和賀川右岸堰堤付近にクマが出没し、住民に目撃される。(岩手日報98年8月17日朝刊)

●98.08.15 岩手県紫波町の某神社の出来事。本殿裏の奥の院に、在来ミツバチが巣を作っていたそうだ。それを狙ってツキノワグマが毎夜出没し、ついには壁の板を壊して侵入した。そこで神社の神主は、残っていた蜂の巣を全部取り除き、17日までに、壊れた壁の板を修理して塞いだ。実は、その神主は私の友人で、24日の晩に、久しぶりに一緒に飲みに行ったときに聞いた話です。このように、在来ミツバチ、西洋ミツバチ、スズメバチが軒下や、屋根裏、神社やお寺のお堂の中などに巣を作ることが良くあります。そして、それを狙って出没したクマに、建物を壊されるトラブルも少なくありません。対策は、蜂の巣を取り除くことです。

●98.08.15 岩手県で人身被害発生:岩手県遠野市で人身被害が発生。8月15日午前10時50分頃、遠野市上郷の山林で、キノコ採りに入った男性(40才)が、体長約1メートルのツキノワグマに遭遇した。走って逃げたがクマに追いつかれ、左手を噛まれるなどした。(岩手日報98年8月16日朝刊)

アイコン コラム クマに襲われた人の体験談 
 8月11日に岩手県田野畑村で、クマ被害防除の電気柵指導会が開かれ、講師として参加しました。そのとき参加された地元の男性から、クマに襲われた貴重な体験談を聞くことができました。聞いた話は次の通りです。(クマ)

『クマに襲われた田野畑村の男性の話』
 平成8年のある日、奥さんと二人で畑で作業をしていた。耕耘機の方に歩いていくと、前方に黒い小さな動物が動いていた。「子グマだな」と直感した。そのとき、どこからか突然母グマが現れた。気がついたときは、すぐ背後に迫っていた。慌てて走って逃げたが、左足の臑を噛みつかれ、次ぎに右手の甲を引っかかれた。クマは立ち上がり、耳まで裂けたような真っ赤な口を開き吼えていた。実に恐ろしかった。クマは両手の爪を、その男性の両肩に食い込ませ、男性を引き倒した。それから、クマはその背中の上に乗り、恐ろしいうなり声を上げた。「次は何処をやられるのか・・・」と、気が気ではなかった。約10メートル離れたところには奥さんが呆然と立ちすくみ、事の一部始終を目撃していた。「次ぎに家内が襲われるのではないか」と、心配だった。
 クマの親子は立ち去り、奥さんは襲われずに済んだ。しかし、その男性は1週間病院に入院した。クマに受けた傷で一番痛かったのは、肩に爪が食い込んだときだったそうだ。背中の上にクマが乗ったときの感想をたずねると、一言、「クマは重たかった」。


●98.08.11 岩手県大迫町外川目のアバクチ、風穴の両洞穴遺跡で発掘調査を進めている東北大などの調査団は、11日に現地で説明会を開いた。今回の調査でアバクチ洞穴遺跡から、ツキノワグマと見られるクマの犬歯27本、土器片、石製の矢じり約30点が見つかった。(岩手日報98年8月12日朝刊)

●98.08.10 国定公園栗駒山の登山道にある、岩手県一関市厳美町の須川温泉付近に、10日、11日の両日、若いクマが出没したために、登山道の一部が閉鎖された。クマはガンコウランの実を食べたり、岩場で遊ぶなど人の姿を見ても悠然としていたそうだ。(岩手日報98年8月12日朝刊)

●98.08.06 今年の4月下旬から、盛岡市北東部の住宅地にツキノワグマの親子が出没し、目撃情報が相次いでいる。一分の住民からは駆除を求める声も出始めている。研究者からは、「刺激は避け、生ゴミを放置しないなど、住み着かせない努力が必要」と共生を呼びかけている。(岩手日報98年8月6日朝刊)

●98.08.05 岩手県中央部のK町でも、クマがデントコーン畑に出没していると、地元の役場から相談がありました。
8月に入ると、デントコーン畑を荒らしに、クマが山から下りてきます。岩手県に限らず、クマが生息している酪農地帯は、デントコーンの収穫が終わるまで、特に注意が必要です。デントコーン畑をクマの被害から守るには、野生動物防除用の
電気牧柵がとても有効です。

●98.08.04 午後7時頃、盛岡市の住宅地(上米内地区)に出没している親子グマ(親1頭、子2頭)が目撃された。民家から約30メートルの場所だった。盛岡東署はパトカー2台を出動させ、付近の住民に注意を呼びかけた。(岩手日報98年8月5日朝刊)

●98.08.04 盛岡市在住のN氏から、岩手県南の衣川村でもクマの被害が問題になっているので、その対策について相談の電話がありました。農作物の被害が中心ですが、甚だしいのは、ドアを壊して納屋に入り込み、保存してある配合飼料を食い荒らすクマもいるそうです。また、キャンプ場にもクマが出没しているそうです。岩手県の他の市町村でも、クマが納屋に入り込んだり、牛舎に入り込み、とても問題になっています。 このようなクマは、かなり人間に慣れた(人間を怖がらない)熊なので、かえって危険です(山に住むクマは普通人間を怖れ、人間から離れようとします)。また、残飯の処理の悪いキャンプ場や、観光施設にクマが居着く例が全国各地で見られます。一度居着いたクマを山に追い返すのは、簡単なことではありません。クマを誘引し
ている原因は人間が作っているのですから、人間の努力でその原因を取り除く工夫が必要です。


●98.08.03 かわせみ倶楽部事務局長の池谷様(群馬県在住)から、至近距離でクマと遭遇した、貴重なレポートが寄せられました。1998年8月3日に長野県奥志賀の雑魚川に釣りに行き、帰り際に熊に遭遇。車の中とはいえ、7メートルの至近距離での遭遇は、恐怖と感動が入り交じる不思議な心境だったそうです。熊は4,5歩後ずさりしたものの、立ち止まりこちらの様子をずっとうかがっている感じだったそうです。その時は深い霧の夕方だったそうです。クマ追いの第一人者、米田一彦氏(日本ツキノワグマ研究所代表)の調査によると、朝と夕方の薄暗いときが、ツキノワグマは最も活発に動き回るそうです。日中でも、雨が降ったり霧やガスがかかり、見通しの悪いときも、やはりクマは活発に動き回ります。クマの視力はあまりよくありませんが、臭覚と聴覚が優れています。特に臭覚は人間の百万倍ともいわれ、暗いときや視界が悪いときの方が、逆に安心して活動するのでしょう。
 幸いトラブルはなかったそうですが、本当によかったですね。なお、かわせみ倶楽部のホームページは次の通りです。

http://www2.wind.ne.jp/kawasemi/

●98.08.03 栗駒町役場の方から聞いた話です。宮城県栗駒町内のある観光施設では、残飯を食べに通ってくるクマを、ライトアップして客に見せるという、信じられないようなことが、現実に起きていたそうです。あまりにひどいので、役場では業者に注意をして止めさせたということです。

●98.08.03 当社のホームページをご覧になった、岩手県岩手郡滝沢村在住のAさんご夫婦が来社。ご夫婦がお住まいになっている地域は盛岡市に隣接している住宅地で、今までクマが出たことが無かったそうですが、7月に2回ほどクマが目撃されいます。今の時期は、母グマから離されたばかりの若いクマが、とんでもない場所に出没することが珍しくありません。住宅地では残飯やコンポストが狙われやすいので、クマが居着かないようにゴミの処理をきちんとすることが必要です。


●98.08.03 盛岡(都南)・紫波・矢巾地域安全推進協議会が、クマ避け鈴60個を紫波町教育委員会に寄贈した。町教育委員会では、最近クマが地域に出没している赤沢小学校に貸し出すことになった。(岩手日報98年8月5日朝刊)

●98.08.03 岩手県沢内村の山伏峠で、県道改良工事をしていた作業員が、工事現場に出没したクマをカメラで撮影した。クマが出没したのは正午頃。20分間、のり面のアリか蜂の巣と思われる場所を右手で掘り返して、口に運んでいた。(岩手日報98年8月4日朝刊)


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