過去の新規情報 VOL.2-5-2




赤鉛筆 過去の新規情報 (2002.07.01〜2002.09.11)


2002/09/11   日本哺乳類学会2002年度大会(富山県)icon   10月3日(木)〜6日(日)に富山大学人文・社会系共通教育棟(富山県富山市)にて、日本哺乳類学会2002年度大会が開催になります。公開シンポジウム「哺乳類の目と目名」は10月5日(土)に開かれます。また、緊急シンポジウム「鳥獣保護法の改正とその問題点」は10月4日(金)に開かれ、クマに関連しては「北海道におけるヒグマでの取り組み」   が間野 勉さん(北海道環境科学研究センター)と「ツキノワグマに関する長野県の取り組み」が 佐藤 繁さん(長野県林務部森林保全課)から発表される予定です。大会開催の案内やプログラムなどの詳細は日本哺乳類学会2002年度大会公式サイトをご覧下さい。

2002/09/06   
特定鳥獣保護管理計画(案)の検討会開催(岩手県)icon   5日午後2時より盛岡市エスポワールいわてで、第2回ツキノワグマ保護管理対策検討委員会(委員長・由井正敏・岩手県立大学総合政策学部教授)が開かれ、県から出された「ツキノワグマ保護管理計画(案)」について、予定されていた時間を延長して検討が行われた。岩手県は平成14年度中に、対象鳥獣をツキノワグマとした特定鳥獣保護管理計画の策定を予定している。ツキノワグマ保護管理計画(案)によると、特定鳥獣保護管理計画の策定によって、科学的・計画的なツキノワグマの保護管理を実施して、ツキノワグマの地域個体群の安定的な維持を図るともに、人身被害や農林業被害の軽減を図り、人とツキノワグマとの共存を目指すことを目標としている。具体的には推定生息数を基に年間捕獲上限数を設け「個体管理」を行い、「生息環境の整備」と「被害防除策」も併行して実施して、総合的に取り組むとしている。

 ツキノワグマ保護管理計画(案)によると年間捕獲上限数は、平成13年度と平成14年度に実施されたツキノワグマ生息状況調査の結果より算定された推定生息数(950頭から1,250頭の範囲にあり、およそ
1,100頭とされる)を基に、年度あたり160頭としている。さらに、年間捕獲上限数は「ツキノワグマ保護管理検討委員会」によって、毎年度見直すこととしている。なお、年間捕獲上限数とそれの基となる推定生息数の計算方法について、検討委員から意見が出されている。

 個体数調整に係る捕獲許可に関連して事務局から、岩手県ではツキノワグマの捕獲許可権限(有害鳥獣駆除の許可権限)を県知事が有し、捕獲許可は県(地方振興局)が行っているが、平成14年度に自然保護課が実施したアンケートによると、県内17市町村からツキノワグマの捕獲許可権限を市町村に委譲してほしいとの要望が出されていることが明らかにされた。それに対して検討委員からは、ツキノワグマの捕獲許可権限を市町村から県に戻した長野県(平成13年度にツキノワグマの特定鳥獣保護管理計画を策定)等の例が紹介され、捕獲許可権限の市町村への委譲は時代の流れに逆行するとの意見や、市町村ごとに市町村版保護管理計画を策定し、生息環境の整備や被害防止策を実施することは困難である、などの意見が出された。

 岩手県は平成13年度に全国に先駆けてツキノワグマ移動放獣マニュアルを作成している。今回のツキノワグマ保護管理計画(案)にも
学習付け移動放獣の実施が盛り込まれ、捕獲個体でも一定数は非殺傷的処置として学習付け移動放獣を行うこととしている。検討委員からは、クマを捕獲しても放獣場所がない市町村もあるので、放獣場所の位置づけをする必要があるのではないか、モデル地域を設定して結果を公表しながら移動放獣を実施して、その結果を元に全県的に広げていってはどうかなどの意見が出された。

 生息環境の整備については、林野庁が進めている「緑の回廊」や、青森県・秋田県・岩手県が進めている「緑のグランドデザイン」構想との連携や、広葉樹の植栽など、ツキノワグマの生息に適した森林整備の促進が、ツキノワグマ保護管理計画(案)に盛り込まれた。

 岩手県では毎年多数の人身被害が発生しており、平成6年度以降だけでも人身事故が85件(被害者数89人、内1人死亡)発生している。さらに、果樹(主にリンゴ)、野菜(主にスイートコーン)、飼料用作物(主にデントコーン)及び養蜂などについて農林業被害が発生しており、被害金額はおよそ2,500万円前後で推移している。よって、特定鳥獣保護管理計画の中で「被害防除策」に対する県民の期待と注目度は非常に大きいと予想される。ツキノワグマ保護管理計画(案)では「山地での人身被害」と「人里での人身被害」とに区別し、それぞれに対応した被害防除対策を行うとしている。さらに、ツキノワグマの繁殖や里への出没は、ブナ・ミズナラ類の堅果類の豊凶と密接に関連していることから、堅果類の不況サイクル予測手法の確立及びツキノワグマ出没「警報システム」の確立を目指すとしている。また、現在岩手県内では8つの市町村で電気柵の補助制度が実施され、被害防除に効果を上げていることから、農業被害については電気柵導入の促進を盛り込んでいる。

 また、ツキノワグマ保護管理計画(案)では岩手県のツキノワグマの保護管理に、短期的モニタリング(個体情報、動向調査、生息環境の調査、被害状況)と長期的モニタリング(被害防除、生息動向)を実施し、地域個体群の状況や施策の実施状況を把握しながら、保護管理へフィードバックを行うとしている。

 なお、事務局が示したツキノワグマ保護管理計画の策定スケジュールでは、9月下旬から10月中旬にかけてパブリック・コメントを求め、11月下旬に第3回(最終)ツキノワグマ保護管理対策検討委員会を開き、計画案を策定するとしている。

2002/09/06   
クマも利用可、緑の回廊icon   林野庁はツキノワグマなどの野生動植物の生態系を守るため、森林を結ぶ「緑の回廊」を富士山地域(山梨県、静岡県)と胆沢地域(神奈川県、山梨県、静岡県)に設定すると、9月5日に発表した。両地域の野生動物は国道138号線籠坂峠によって移動ルートが分断されている。このため国道をまたぐ形で、動物の通路の設置も検討されている。
 回廊では原則として人工林の皆伐や林地の開発を認めない。有害鳥獣駆除を除く動物の狩猟や植物の採取は禁止される。また、他の野生動物への影響を押さえるなどルートを取り決め、動植物の生態系保護を進める。実現すればツキノワグマなどが通る橋は国内で初めてとなる。(平成14年9月6日 日本経済新聞)

2002/09/02   
米国黒クマが5ヶ月の乳児を死傷(米国)icon   海外からの悲しいニュースです。8月20日の午後2時頃、米国ニューヨーク州のニューヨーク市から北西に約70マイル離れたキャッツキル山脈 (Catskills)の リゾート地で、米国黒クマ(アメリカンブラックベア)がバンガローに出没し、外に出していた乳母車から、生後5ヶ月の乳児(女の子)をくわえて森に立ち去った。母親は2歳と4歳の子供を建物に避難させている間の出来事だった。現場を目撃していた他の住民がクマに石をぶつけると、クマは走り去った。乳児は保護され病院に運ばれたが、頭や首などに7カ所の傷を受けており死亡した。幼児を連れ去ったクマは、当局によって駆除された。
 幼児の死亡を発表したニューヨーク市警察本部長のブレント・ローレンス氏は、クマは幼児を食べ物と認識して連れ去ったかもしれないと発表した。野生動物保護管理局は米国黒クマは滅多に人を襲わないと話している。また、米国黒クマ協会(American Black Bear Assosiation)は、過去1世紀の間に北米で米国黒クマに襲われて死亡したのは、たった40人だと話している。ニューヨーク州野生生物病理学者のウォード・ストーン氏によると、過去34年間にわたって米国黒クマはバードフィーダー(野鳥の餌台)の餌を食べ続け、そして、人々の生活地域に出没するようになって飼い犬のドッグフードを荒らしてトラブルを起こしてきたが、滅多に人を襲うことはなかったと話している。詳細は下記のウェブサイトをご覧下さい。(8月20日付 Tampa Bay Onlineより)

          ●Tampa Bay Online 
http://ap.tbo.com/ap/breaking/MGAZ44CH35D.html

(コメント)日本でもクマが人家付近や集落に出没する原因として、コンポストや生ゴミ、廃棄された野菜や果樹、動物の死骸、(養魚場の)死んだ魚、養鶏場や養豚場の配合飼料、捨てられた空き缶やお菓子などの空き袋、食べ物の臭いが付いた包み紙やハッポースチロールのトレーなどが考えられます。つまり、クマを迷惑に考えている人間が自らクマを呼び寄せている場合も少なくないのです。

2002/08/26   クマ出没情報(南富良野)icon   取り引き先の方から寄せられた情報です。北海道南富良野にある自宅から約30メートル離れたゴミステーションに、8月25日の晩から今朝にかけてヒグマが出没し、ゴミ箱を壊してゴミを荒らしていたそうです。現在、富良野町の各地でヒグマの出没があるとの情報でした。

2002/08/26   
TV番組icon   NHK BS ハイビジョンにて8月26日午後7時30分〜9時30分、「ハイビジョンスペシャル 今夜決定! カメラマン岩合光昭の新たなる挑戦2〜極北生命輝く一瞬の夏〜」が放送になります。

岩合光昭 極北を撮る<5夜連続放送>
8月26日(月)〜30日(金) 午後9時30分〜9時55分 NHK BS ハイビジョンで放送
8月26日 雪の妖精 子グマ誕生、27日 ホッキョクグマアザラシを襲う、28日 キツネの知恵 ガンの知恵、29日 シロイルカ4000頭 海から川へ、30日 海の巨人 セイウチが群れる島

2002/08/22   
FBIやシークレットサービスも利用している護身スプレーMagLight icon   熊撃退スプレー『カウンターアソールト』の製造メーカーCOUNTER ASSAULT社(米国)は、防犯・護身用の携帯型唐辛子スプレー『OC-10』(オーシーテン)という製品も製造しております。そして、『OC-10』は弊社が輸入販売総代理店として昨年から日本へも輸入し、販売を行っております。そのCOUNTER ASSAULT社の社長から昨日寄せられた情報では、OC-10は全米各地の警察や軍関係の他にも、FBI(米国連邦検察局)や現職の副大統領のシークレットサービスも利用しているとのことです。つまり、米国の副大統領のシークレットサービスが携帯しているものと同じ護身スプレーを、日本でも購入できるというわけです。なんか凄いとは思いませんか!?

 某大手警備保障会社が販売しているホームセキュリティーの広告看板、プロ野球巨人の前監督長嶋茂雄さん宅へ、先日やすやすと刃物を持った不審者が侵入したり、某住宅会社がパニックルーム付きの住宅を販売したり、今年だけでも数百件の金庫強盗が発生したり、人家へ侵入しての強盗や殺人事件が頻発している昨今、自分の身や家族の安全は自分自身で護ることがとても大切です。警察関係者も公に認めているとおり、日本の安全神話はもはや過去の遺物でしかありません。
 犯罪大国の米国で、警察や軍関係の他にも、FBI(米国連邦検察局)や現職の副大統領のシークレットサービスも利用している防犯・護身用スプレー『OC-10』を、一家に一本常備することをお勧めします。
防犯対策にご興味のある方はこちらをご覧下さい。

2002/08/22   
日高山脈・山釣紀行icon   秋田・源流釣友会のウェブサイトが更新され、北海道の日高山脈遠征レポートが、たくさんの画像ファイルと一緒に掲載されました。その中で熊撃退スプレー『カウンターアソールト』の発射実験の様子や、ヒグマとの遭遇(?)レポートも掲載になっていますのでぜひご覧下さい。

2002/08/17   
なんか妖怪!?icon   8月17日付日本経済新聞の文化欄に、「妖怪 日本史ひもとく手掛かり/データベース続々/怪異と併せ学術研究進む」という同紙文化部・神谷浩司氏の文章が掲載されました。そこで、紙面で紹介されていました「怪異・妖怪伝承データベース」・「東アジア恠異学会」・「白澤楼」のウェブサイトをリンクさせていただきました。妖怪や怪異・伝承は日本人の精神世界の一翼を担う貴重な情報です。また、マタギ文化の精神世界にも反映されています。妖怪や怪異について興味のある方はこちらをご覧下さい。

2002/08/12   
第14回国際クマ会議icon   7月28日〜8月3日までノルウェーのSteinkjerにて、「第14回国際クマ会議」(The 14th International Conference on Bear Research and Management
)が開催され、日本からも約5名の研究者などが参加しました。詳細は
第14回国際クマ会議の公式ウェブサイトをご覧下さい。

          
●クマの研究者で組織・運営されている国際的なNGO, The International Association for Bear Research and Management (IBA) のウェブサイト
           
http://www.bearbiology.com/

2002/08/12   
マタギの里の懐かしい鉄道風景icon   ユニークな鉄道民俗学の「くまのたいら村」が、ウェブサイトを更新しました。今回の超お奨めは『マタギの里のC11 阿仁合線』です。鉄道マニアではなくとも目が釘付けになり、グググググ〜と郷愁がこみ上げてくるような懐かしい鉄道写真(蒸気機関車、駅の風景)がたくさん掲載されています。ご存じの通り、秋田県北秋田郡阿仁町はマタギ発祥の地として有名です。阿仁合線の終着駅「比立内」にある松橋旅館は、現役のマタギのシカリ(マタギの統率者)・14世マタギの松橋時幸さんがオーナーです。ぜひ、「くまのたいら村」のウェブサイトをご覧下さい。

2002/08/12   
南部杜氏発祥の地の美味い地酒icon   南部杜氏発祥の地・岩手県紫波郡紫波町の作り酒屋「月の輪醸造」は、明治19年(1886年)創業。若狭の国(現在の福井県)出身の初代が『若狭屋』という屋号で麹屋を営んでいたのが始まりです。ところが、酒造りに魅了された横沢家4代目徳市(4代目 横沢大造氏)が酒造業を創業。横沢大造氏が自らオーナー杜氏となるほど酒造りにこだわりを持ち、「大吟醸月の輪」や「特別純米酒月の輪」など数々の美酒を世に送り続けています。
 なお、清酒「月の輪は」は、全国新酒鑑評会で3年連続金賞を受賞しています。月の輪酒造の清酒はインターネットでも申し込むことができます。興味のある方は、酒造りの勉強にもなる、
月の輪酒造のウェブサイト「TUKINOWA-IWATE.COM」をご覧下さい。
 「月の輪」の由来について。今から約900年前、前九年の役の後に源氏が陣をおいた場所「陣が岡 峰神社」が蔵の近くにあり、その神社の敷地内に「月の輪形」という池があったので、その名前を頂いたということでした。残念ながら、ツキノワグマとは関係がないそうです。

2002/08/08   
人家に侵入したクマを薬殺処分(長野県軽井沢町)icon   別荘や避暑地として有名な長野県軽井沢町は、自然との共生を目指しています。しかし、別荘地や人家周辺にツキノワグマが出没し、中には人家に侵入するクマも現れています。そこで軽井沢町では、本格的なツキノワグマ対策を推進していくため、(株)星野リゾートの野生動物調査研究部門のピッキオ(星野ワイルドライフリサーチセンター)に、2000年度下半期よりツキノワグマの被害防除と保護管理のための調査・対策事業を委託しています。

 現在も、軽井沢町内で頻繁にツキノワグマが出没しています。その根本的な原因は人の出すゴミです。ピッキオのツキノワグマ調査員(専従2名、アルバイト2名)たちは、2交代24時間体制でゴミに誘引されたクマの捕獲(現在までに13頭を捕獲)やお仕置き放獣、電波発信器によるクマの行動圏や行動特性の把握、クマの生息地に暮らす人々への普及啓発などを行っています。
 ところが、クマによるゴミ荒らしが頻発していた軽井沢東部の別荘地内で、7月21日23:00、31日3:00ごろに「人家(同一家屋)へ侵入して生ゴミと食料を持ち去る」という行動をとるクマが出現しました。即日、現場にクマの捕獲オリが設置され、7月31日22時04分に1頭のクマが捕獲されました。

 7月30日深夜から7月31日未明にかけピッキオ調査員が行った深夜追跡において、今回捕獲されたクマが被害家屋付近にいるのが確認され、家屋侵入の可能性が高いと判断されました。このクマは、2000年8月30日にほぼ同じ場所で捕獲され電波発信器を装着した後、奥山でお仕置き放獣された雌グマでした。2001年には、民家近くでの目撃、人馴れ、または家屋への執着を思わせる行動が確認されています。そのため、再被害防止と地域住民の安全を考慮し、8月4日に、薬剤投与による駆除が実施されました。このクマを捕獲した日(7月31日夜)から駆除する日(8月4日朝)まで、人家侵入現場での再被害の有無などの現況調査(自動撮影装置による他個体接近の確認、夜間モニタリングによる他の発信器個体接近の確認、また周辺での被害通報対応)が実施され、人家へ侵入した個体がこの捕獲個体であるかどうかについて特定する作業(個体特定)も進められました。

 危険なクマを作り、クマを別荘地や人家周辺に誘引する原因を作っているのが私たち人間であることを忘れてはなりません。軽井沢町では昨年来、危険なクマの特定と駆除を進めています。しかし、一方でクマを人家周辺に近づける原因となるゴミの対策は遅々としか進んでいないのが現状です。一部の意識の高い住民や別荘地を除いて、町民・別荘住民・観光客はルールを守れておりません。また、行政も対応し切れておりません。このような状況では、クマが次から次へと人家周辺に現れることは火を見るよりも明らかです。このような状態が続く限り、軽井沢町が掲げる「自然との共存」を実現することは非常に困難です。

 今後の軽井沢町と星野リゾート・ピッキオのさらなる取り組みと、軽井沢町の町民や別荘住民、及び観光客のマナーの向上と意識の変革に期待したいと思います。
 なお、上記の情報は日本クマネットワークのメーリングリストに配信されたメールを、配信者であるピッキオ・ツキノワグマ調査員の田中純平氏の承諾を得た上で、有限会社アウトバックの代表取締役・藤村正樹(outback@cup.com)が一部編集した上で掲載いたしました。他への転載やマスコミなどによる2次利用を希望される場合には、藤村宛にお問い合わせ下さい。

          
●(株)星野リゾート・ピッキオ/星野ワイルドライフリサーチセンター
                         ツキノワグマ・ニホンザル保護管理部門
                         〒389-0194 長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉2148
                         Tel&Fax 0267-46-3818

(コメント) 全国各地で普通行われているクマの有害駆除では、加害クマの個体特定が行われないままに、捕獲檻やワナなどでたまたま捕獲されたクマが犯人と決めつけられ、捕殺されています。えん罪で駆除されたクマは少なくないと考えられます。軽井沢町のように、時間と経費・多大な労力をかけて個体特定を行った上で、特定された危険なクマを薬殺処分するという行為は高く評価されるべきです。なお、薬殺処分には麻酔薬が使用され、クマができる限り苦しまない方法が採用されています。通常の有害駆除では、クマの苦痛については配慮されず、簡単で安上がりという理由で銃器による射殺が一般的に行われています(薬殺処分は経費と労力、時間がかかるので敬遠される)。

2002/08/08   クマの生息域が拡大(岩手県)icon   岩手県は8月6日に県庁で「ツキノワグマ生息状況調査検討委員会」(委員長・三浦慎悟森林総合研究所東北支所地域研究官)を開き、県が本年度までに2カ年で行った生息状況調査の調査結果を報告した。調査は1989年度以来、13年ぶりとなる。

 県内を1区画600ヘクタール程度の1902区画に分け、観察や痕跡(足跡、毛など)確認、冬ごもり明けのクマを実際に追い立てる調査などを実施した。
 それによると、生息分布を元に推定生息数を算定した結果、岩手県のツキノワグマ推定生息数は1100頭程度(950〜1250頭の範囲)とほぼ横這い。地域別では奥羽山系が約370頭、北上高地が約730頭。前回調査と比較して、出没地域が増加していた。前回はほとんど確認されなかった県北地方や北上川沿いの里山、上磐井郡と下磐井郡などに分布が拡大している。逆に前回は繁殖地域とされた北上高地の奥山の一部が今回は「空白地帯」となり、生息密度が低下した。研究者は「奥山に適した生息場所が少なくなり、里に(ツキノワグマが)近づいてきたのではないかと」と分析している。
 県は調査結果を元に、生息環境の保全対策などを盛り込んだ特定鳥獣保護管理計画を本年度内に策定する。(平成14年8月7日 岩手日報)


2002/08/08   クマ出没情報(岩手県遠野市)icon   8月6日午前11時頃、岩手県遠野市上郷町平倉の上郷橋付近で、子連れのクマがいるのを釣りをしていた小学生が目撃した。通報を受けて遠野警察署の署員が現場に駆けつけたときにはクマはいなかった。
 さらに、同日午後3時半過ぎには、同市上郷町のJR平倉駅(無人)付近の市道にも別のクマが出没。遠野警察署と遠野市では地元住民に注意を呼びかけている。(平成14年8月7日 岩手日報)


          ●岩手日報社 http://www.iwate-np.co.jp/

2002/08/08   番屋荒らしのヒグマを処分(北海道羅臼町)icon   7月26日に北海道目梨郡羅臼町の知床岬(岬先端部近くの道路はもちろん無い、漁師の番屋だけのところ)で、使用中の番屋にヒグマが侵入するという事件が発生した。幸い、外で作業をしていた80歳近くのおばあさんは、別の番屋に避難して無事であった。番屋を荒らしたヒグマ(オス1頭)は危険と判断され処分された。

 以下は知床国立公園 羅臼ビジターセンター/羅臼町町民生活環境課自然保護係の田澤道広さんから寄せられたメールを元に、田澤さんの承諾を得た上で有限会社アウトバックの代表取締役・藤村正樹(outback@cup.com)が一部編集した上で掲載いたしました。他への転載やマスコミなどによる2次利用を希望される場合には、藤村宛にお問い合わせ下さい。

 調べによると、7月25日15時半頃から番屋の回りでヒグマの姿が見られ、16時半頃、番屋使用者(ばあさん1人)が外へ出て作業している際に、見ている状況で、開いた玄関から侵入。そのため、使用者は200〜300メートル離れた隣りのコンブ番屋に避難した。避難先の番屋から、羅臼漁業協働組合無線局へ無線連絡が入り、そこから羅臼ビジターセンターの田澤さんに連絡入る。
 その後役場、猟友会で協議、同日は現場に到着する時間が日没過ぎとなるため、翌朝4時に相泊港を出発して、4時45分に船で現場に到着した。現地での聞き取りでは、25日16時半の避難後、クマが小屋から出たのを確認し、避難先番屋住民と使用者(おばあさん)とで、番屋の玄関をふさぎに行った。しかしその後またヒグマが現れ、玄関脇の窓を破壊して番屋に侵入した。その後何度も侵入し、その度にドッグフードや食料品をくわえて出ていったのが、避難先番屋から見えたとのこと。

 番屋内は食料品を物色した跡、ガスレンジやガスコンロなどが転がって散乱しており、窓ガラスや窓枠とその付近の壁が壊されていた。番屋のすぐ周りでは、ドッグフード、マヨネーズ、食用油などを食べた跡や、糞が3箇所で確認された。また、ひっくり返された小船や、明確ではなかったが足跡も確認された。その後待機中、11時15分にヒグマの姿を確認する。クマはすぐに番屋に侵入したため、番屋に近づき出てきたところを発砲、11時25分にかけ8発発砲して加害個体を駆除した。捕殺されたヒグマは、体重:241キロ、頭胴長:176センチ、胸囲:134センチ、前足幅:16(左)と16.5センチ。このヒグマは頭が大きく、痩せており、頭長:46センチ、頭幅:27センチ。また、尾がちぎれた感じで、5センチと短い。

 この個体は数日前から姿を見せていたが、番屋の外には特に誘引物らしきものは無かったとのこと。また200〜300メートル離れた2軒のコンブ番屋近くに、ヒグマが来た形跡、目撃は無かった。被害にあった番屋は借り物で、おばあさんが1人で生活をしていた。今回初めて得た情報では、昨年は目の前で愛犬が首をクマに噛み付かれ、1週間後に犬が死んだという経験を、この老婆はしている。ヒグマとの遭遇は過去にたくさん経験していたが、クマをにらみつけ怒鳴っただけで、彼女が逃げることはなかった。ヒグマから避難したのは今回が初めてという。

 なお、羅臼町では過去にもヒグマが番屋に侵入する事件が起きている。さらに以前には民家侵入という事件もある(注釈:実際にヒグマが侵入した家が観光スポットになっている)。海岸沿いに細長い町並みで、家の裏がすぐヒグマの通り道という人家群がほとんど。常に番屋を含めた住民生活とクマの出没とが密接で、むしろ観光客などとのヒグマとの接点は少ないか、あまり問題にならない。今回のような物質的被害はほとんど発生していないが、住民の精神的被害や、生活に様々な不便(頻繁な集団登下校、軒下の魚干しが盗まれる、コンポストが荒らされる、夜間外出などなど)が恒常的に発生している地域もある。

 羅臼町では8月に入りヒグマの出没も頻繁になり、クマの対応もハイペースになっているとのことです。また、羅臼町でのヒグマの生息数は不明であるが、今年の対応件数は、8月6日時点で55回目(ただしこれは、対応が必要な場合のみで、登山道や知床横断道路などでの目撃など、特に対応しない場合は含まれていない)という田澤さんのお話です。

2002/08/08   
ヒグマを喰って入院、人身被害も発生(ロシア)icon   オホーツク海に面したロシア極東部の沿海地方では、野生のヒグマの肉を食べたロシア人が高熱と体の痛みを訴え、次々と病院にかつぎ込まれている。7月30日までに、患者は子ども12人を含む40人にのぼっている。クマの肉を検査したところ「旋毛虫」という寄生虫が見つかった。「旋毛虫」は動物の腸などに寄生し、それを食べた人間の筋肉に入り込み、死に至る場合もある。この地方ではクマ肉は強精剤として人気があり、極東部ではクマ猟が盛ん。
 カムチャツカでは7月からサケの遡上まったが、サケをねらうクマに人間が襲われる事故も相次いでいる。カムチャツカのヒグマは、威嚇射撃にもひるまないそうだ。当局は警戒を呼びかけている。(平成14年7月31日 朝日新聞)

          
●朝日新聞 http://www.asahi.com

(コメント)日本でもクマの肉を食べて、同じ病気が発生しています。寄生虫の専門家の鈴木了司高知医科大学名誉教授の著書、『寄生虫の世界』(NHKブックス)によると、1974年に青森県内で射殺されたツキノワグマの肉を刺身で食べた猟友会員など約30名の内、15人が下痢や全身の発疹、高熱、腹痛などに続いて、まぶたがむくむといった症状をあらわした。さらに、急性リュウマチのような筋肉痛と関節炎が見られた。患者を調べていた弘前大学の山口富雄さんらが食べ残した肉から旋毛虫の幼虫を見つけ、原因は「旋毛虫」(せんもうちゅう)であることを突き止めました。
 さらに、1979年には札幌市の郷土料理店で飼育されたヒグマの冷凍肉(ルイベ)を食べた12人が旋毛虫症を発症。1981年には三重県四日市郊外の食堂でツキノワグマの肉を食べた437人のうち、免疫学的検査で60人が陽性であった記されています。

2002/08/08   
長野県が熊の農作物被害のお知らせicon  長野県のウェブサイトに、ツキノワグマによる農業被害を防ぐためのお知らせが掲載されています。それによると、夏は野生動物にとって食べ物が不足する季節なので、クマの里付近への出没も多い。平成11年、12年においても、8月、9月に農業被害の9割近くが集中してるとのことです。そこで長野県では電気柵の設置を推薦しています。また、クマを誘引する誘引物質(生ゴミなど)の除去も呼びかけています。詳細はこちらを御覧ください。

          
●長野県のウェブサイト http://www.pref.nagano.jp/index.htm

2002/08/04   養蜂業者が檻でヒグマを捕獲、その2(北海道)icon  7月25日に発見された養蜂業者によって檻で捕獲されたヒグマの扱いに関して、宗谷支庁はヒグマを山に帰すことを決めた。同支庁は稚内署と協議を続けていたが、猿払村役場は射殺による駆除を求めていた。しかし、同支庁は動物保護の観点を主張し、放獣する決定を下した。ヒグマは27日に地元の猟友会によって檻から放される予定。(平成14年7月27日 北海道新聞)

2002/08/04   
養蜂業者が檻でヒグマを捕獲、法令違反の疑い?(北海道)icon  7月25日午前6時半頃、北海道宗谷管内猿払村上猿払の山中で、一頭のヒグマが檻に入っているのを通りがかった会社員が発見し、猿払村役場に届け出た。檻はヒグマに養蜂箱を荒らされた養蜂業者の親子(父57歳、子22歳)が設置していた。稚内署は鳥獣保護法(無登録狩猟)違反の疑いもあるとして、宗谷支庁などとともにこの親子から事情聴取を行っている。同署によると、捕獲されたクマは推定12〜13歳の雄で体長は約2メートル、体重は約200キロ。ヒグマが捕獲された場所は、集落から約10キロ離れている。
 養蜂業者の親子は6月下旬、九州から北海道に移動。猿払村内に蜂蜜採集のために養蜂箱を40箱設置した。7月19日に数箱がクマに被害を受けたので、7月22日に高さ1メートル×幅80センチ×奥行き2.4メートル鉄製の檻を(許可を受けずに)設置し、中にクマをおびき寄せるための蜂蜜を仕掛けた。ヒグマが檻の中に入り、床を踏むと扉が閉まる仕組み。(平成14年7月26日 北海道新聞)

          
●北海道新聞社 http://www.hokkaido-np.co.jp

(コメント)クマの被害を受けた養蜂業者が、許可を受けずに勝手に捕獲用のワナ(箱ワナ、ドラム缶ワナなど)を設置する例は珍しくないようです。ただし、有害鳥獣駆除(有害駆除)や学術捕獲を含めた全ての狩猟は、狩猟関係法令によって厳しく制限されており、理由の如何に関わらず勝手に野生動物を捕獲すると、法律を犯すことになると考えて良いでしょう。また、狩猟の対象動物は法令で定められており、捕獲方法(猟具)や狩猟期間なども厳しく制限されています。さらに、環境大臣が定めた狩猟対象鳥獣を捕獲するためには、柵などのある邸宅地域内で銃器を用いないで捕獲する場合は別として、それ以外の場合はすべて都道府県知事の狩猟者登録を受けなければなりません。登録は、登録を受けた狩猟免許の種別及び狩猟を行う場所についてのみ、その効力を有します。つまり、登録を受けた狩猟場所以外で行う狩猟は、無登録狩猟となり処罰され、使用した猟具及び猟獲物で無登録狩猟者の所有しているものは没収されます。
 ただし、野生鳥獣の調査や研究などで学術研究用に捕獲する場合や、農林水産など有害な鳥獣を駆除の目的で捕獲しようとする場合は、環境大臣又は都道府県知事の捕獲許可を受けて捕獲することができます。その場合には狩猟者登録はいりません。
 今回のケースでは、無登録捕獲の嫌疑がかかっている親子の養蜂業者にどのような処分が決まるのか、そして捕獲されたヒグマがどうなるのかに注目したいものです。また、養蜂業者の親子が用いた鉄製の檻の所有者が誰なのが疑問です。これに関して記事では触れていません。他の場所で同じように養蜂業者が勝手にクマ捕獲の箱ワナやドラム缶ワナを設置した複数のケースでは、ハンターとの関わりが指摘されています。当然ですが、無登録狩猟は法令違反であり、犯罪です。仮に檻の貸出や設置に手を貸した者がいたとしたら、犯罪を幇助したこととなり、その者も罰せられるでしょう。
 なお、ヒグマやツキノワグマによる養蜂被害対策としては、
野生動物対策用の電気柵の設置が最も効果があります。

2002/08/01   
熊撃退スプレーの貸出開始(知床)icon  発売中の『山と渓谷』2002年8月号(山と渓谷社)の、"Yamakei-Journal"(p100)に掲載された情報です。観光客や登山者に人気の高い知床国立公園は、ヒグマが高密度で棲息している地域でもあり、連日道路や遊歩道にヒグマが出没しています。登山者がヒグマと遭遇する危険が高まりつつあることから、今年から(財)しれとこ管理財団が、米国製の熊撃退スプレー(カウンターアソールト)クマ対策フードコンテナを登山者などに貸出(有料)を試験的にはじめました。
 熊撃退スプレーの貸出は、木の下小屋と斜里町知床自然センターの2カ所。料金は1,000円/日数+デポジット料金(2,000円)。実際にスプレーを発射した場合には12,810円を支払うことになります。借りるには身分証明書が必要です。熊撃退スプレーの貸出期間は7月7日〜10月下旬まで。クマ対策フードコンテナの貸出は7月〜10月まで。詳細は知床自然センター内の(財)しれとこ管理財団(TEL:01522-4-2114)までお問い合わせ下さい。
 なお、今月号の『山と渓谷』には、写真家の津軽 豊氏が撮影したヒグマの写真「知床・仔熊物語」がグラビアのページに掲載されています。イキイキとしたヒグマの生態を捉えた作品をぜひご覧下さい。

2002/08/01   
クマ出没情報(岩手県)icon  7月30日に仕事でお寄りした、岩手県北にある山形村の農家の方から聞いた話です。農作物の被害はこれからだが、クマはあちこちに出没しているとのことです。

2002/07/25   
ついに岩手も梅雨明け宣言!icon  今日は非常に暑い!あまりの暑さに盛岡地方気象台に問い合わせたところ、岩手県も本日梅雨明け宣言をしたそうです。おめでとうございます! 海や川や山といったアウトドアフィールド満載の岩手県に、ぜひ遊びにお越し下さい。温泉もあるでよ!(^〇^)V

         
岩手県を含む、東北各地の海水浴場の天気や気温、波の高さ、風速などがわかるお薦めのホームページです。その他にもオートキャンプ場情報、全国花火大会情報などが満載です。
          
weathernews: http://www.wni.co.jp/cww/index.html

         ●
海上保安庁海洋情報部第二管区が提供する「海の安全情報」には北海道・東北6県・新潟県の海水浴場の情報が掲載されています。
          
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN2/

2002/07/25   
クマによる人身事故発生(岩手県)icon  7月24日午前4時半頃、岩手県江刺市広瀬の市道で、徒歩で新聞配達アルバイト中の男性(82)がクマと遭遇し、顔面を引っ掻かれ目に重傷を負い病院に収容された。江刺署の調べでは、男性は道路左側から現れたクマに襲われたが、持っていた杖を振り払ったところ、クマは出てきた山林の方へ逃げ去ったそうだ。男性は約200メートル離れた民家まで自力で移動し、助けを求めた。
 クマが出没したのは北上市境近くの山間部で、民家が点在している。江刺市林務課によると、昨年は数件のクマの目撃情報が寄せられたが、今年はまだなかった。市は24日付で水沢保健所に有害鳥獣駆除を申請した。また、有線放送を通じて付近の住民に注意を呼びかけている。(平成14年7月25日 岩手日報)

          
●岩手日報社 http://www.iwate-np.co.jp/

2002/07/25   
クマとシカに小型コンピューター装着icon  北海道大学を中心とした産学連携のグループが、独自に開発した超小型コンピューターを野生のヒグマやエゾジカに装着して、移動経路や体温、心拍数などを携帯電話回線(NTT北海道のDoPa)を通じて把握するシステムの実験を、8月下旬に開始する。携帯電話の通話圏が全道一円に広がったことを活用して、100キロ以上にわたって季節移動するクマやシカ等を常時補足して、生態解明に役立てる。
 研究グループの中心メンバーは北海道大学大学院獣医学研究科の鈴木正嗣助教授で、野生動物による食害などの被害防止策を立てる上で有用としている。また、将来的には家畜の放牧管理やペットの迷子防止など、あらゆる面に応用ができるのではないかと話している。実験に取り組んでいるのは、北海道大学、ビー・ユー・ジー(PCのハードとソフトの設計・販売を行う民間企業/本社・札幌)など、道内6つの研究機関や企業のグループ。今年1月から動物の負担にならない超小型のコンピューター開発に取り組んだ。そして、縦約10センチ、横約5センチ、厚さ約3センチ、重さ約150〜200グラムの「ウエアラブル・コンピューター」の開発に成功した。
 また、この超小型コンピューターはGPSや、小型カメラも搭載している。実験体の動物にセンサーを埋め込み、この超小型コンピューターを首にベルトで取り付ける。そして、動物の位置や気温、体温や心拍数などのデータを蓄積する。データや小型カメラで自動撮影された画像は、コンピューターと接続した携帯電話回線を通じて遠隔地のパソコンに送信する。電源は電池で、シカの場合だとリチウム電池2本で約4カ月間使用できる。8月下旬から約2カ月間、胆振管内の洞爺湖の中島に生息するエゾジカ2頭に試作機を装着して実地試験を実施し、実用化を目指す 。(北海道新聞 平成14年7月20日)

          
●北海道新聞社 http://www.hokkaido-np.co.jp

2002/07/23   
gif.急報!知床国立公園ではヒグマが毎日出没中!!icon  知床国立公園では連日、知床自然センター(斜里町)のクマ対策スタッフが、道路沿いや遊歩道沿いに出没するヒグマへの対応に追われています。毎日、クマを見ない日が珍しいぐらいの状況で、クマを見かける確率は米国のイエローストーン国立公園と大差ないほどです。さらに、クマを見たさに車を停めるマナーの悪い観光客が後を絶たず、これまたイエローストーン国立公園などと同じ「ベアジャム」(クマを見るために観光客が路肩に次々と車を停めることによって起こる交通渋滞)が発生しています。
 知床国立公園や斜里町内でヒグマの保護管理に日夜真剣に取り組んでいる山中正実さん(知床自然センター内 しれとこ管理財団)から、知床国立公園を訪れる観光客やキャンパー向けに、ヒグマとのトラブルを未然に防ぐための心得(注意・警告)をお寄せいただきましたのでぜひご覧下さい。これから北海道旅行や知床国立公園に行く予定の方は、以下の注意書きをコピーして、常に携帯することをお薦めします。

          
『知床国立公園でヒグマとのトラブルを防ぐ心得(注意・警告)』

          1)知床では交通量の多い道路沿いや人通りの多い遊歩道でも、どこでもヒグマがいる。常にクマに対する注意を怠ってはならない。
          2)餌やり、ゴミ捨ては厳禁。極端な話、殺人幇助行為!!
          3)車道沿いでのんびり餌を食べているクマをしばしば見かける。のんびり見えても相手は強力な野生動物。絶対に近づいたり、車外に出てはならない。不用意に近づくと手痛い反撃を受ける。特に親子連れに近づくなかれ。
          4)決められたキャンプ場、野営指定地以外でキャンプしてはならない。夜のテントにクマが訪問する事態を招く。
          5)登山者・釣り人など知床で野外活動をする人は「
クマスプレー必携」。
          6)知床連山の登山者はテント内の調理・食事・食料保管は厳禁。野営指定地に設置されている
金属製の食料保管庫を利用しよう。
          7)シーカヤックなどキャンプ場での宿泊が困難な人は、「
フードコンテナー」を必携のこと。

          ●知床自然センター内 しれとこ管理財団
           〒099-4356 北海道斜里郡斜里町岩尾別531

           TEL/FAX: 01522-4-2775
           
http://www.shiretoko.or.jp/index.html
           
http://www.ohotuku26.or.jp/shari/100m2/

          ※その他にも、「ヒグマとの遭遇時の対応に関するマニュアル」や「山でクマに出会わない、襲われないためのアドバイス」もご覧下さい。


2002/07/23   
第23回JKGナイフショーのお知らせicon  平成14年10月26日(土)-27日に東京・臨海副都心TFTホールにて、『第23回JKGナイフショー』(主催:ジャパン・ナイフ・ギルド/入場料無料)が開催されます。ジャパンナイフギルド(JKG)は、1980年 アメリカのカスタムナイフの創始者であるR.W.ラブレス氏の助言により設立された日本で唯一の、手造りナイフメーカー・カスタムナイフショップ・ナイフコレクターなどにより構成されている非営利の同好会です。なお、詳細についてはジャパン・ナイフ・ギルドのウェブサイトをご覧下さい。

2002/07/23   
狩猟に関した特別展と講演会・映画鑑賞会(北海道)icon  網走市の北海道立北方民族博物館で狩猟に関する特別展、第17回特別展「狩る ―北の地に獣を追え―」が7月19日(金)〜9月26日(木)まで開催中です。アムール流域・サハリン・北海道の先住民族と本州北部の狩猟に焦点をあて、その歴史と社会背景・技術・山への信仰などを紹介します。
 同じく北海道立北方民族博物館では、講演会「北方地域の狩猟文化」を7月27日(土)の13:45〜16:30に開催します(参加費は無料)。講師と演題は次の通りです。
 ・ヒグマと私−過去・現在・未来− 宮腰 實(みやこし・みのる)氏
  知床・羅臼町で20年以上ハンターとしてヒグマと関わってきた自らの体験に基づいて、ヒグマとの共生、ひととの将来について語ります。
  プロフィール/昭和24年根室市生まれ 羅臼町在住 羅臼町のヒグマ対策を考える会

 ・北方の狩猟誌−その環境と技術をめぐって− 田口 洋美(たぐち・ひろみ)氏
  狩猟文化研究の第一人者がロシア・極東の先住民と日本の伝統的な狩猟について語ります。技術の比較や、自家用と交易用での狩猟方法の違いなどについても紹介。
  プロフィール/昭和32年茨城県生まれ 川崎市在住 狩猟文化研究所代表

  さらに北海道立北方民族博物館では、黒澤明監督作品(1975年)でロシア沿海州の先住民・ナーナイの狩猟者が主人公の物語「デルス・ウザーラ」の鑑賞と解説会を、8月24日(土)13:30〜16:15に開催します(参加費無料)。

 詳細については北海道立北方民族博物館に直接お問い合わせ下さい。

          
●お問い合せ先 北海道立北方民族博物館(月曜休館)
                  〒093−0042 北海道網走市字潮見309−1(天都山・オホーツク公園) 
                  電話0152-45-3888 FAX0152-45-3889
                  
http://www.ohotuku26.or.jp/hoppohm/
                  e-mail:hoppohm@ohotuku26.or.jp


2002/07/22   
ヒグマがテントを破り、食料奪う(北海道)icon  7月15日午前2時5分頃、北海道稚内市の稚内公園内「稚内森林公園キャンプ場」で、テントで就寝中の男性(40)がヒグマに襲われた。ヒグマは男性の1人用テントの下部を破り、中にあった食料を入れたビニール袋を外に引きずり出そうとした。異変に気がついた男性はテントの外に逃げだし無事だった。男性から通報を受けた稚内署や稚内市は、爪痕から犯人はヒグマとみて、同公園でキャンプをしていた8人全員を稚内市内に避難させ、キャンプ場に通じる道路を閉鎖した。稚内猟友会が付近を捜索したがクマは見つからなかった。同キャンプ場は稚内市の中心市街地裏手の丘陵地にあり、民家まで300〜400メートルの距離。付近では3年前にもクマの足跡とフンが見つかっている。(北海道新聞 平成14年7月16日)

          
●北海道新聞 http://www.hokkaido-np.co.jp

2002/07/22   
クマに抱きつき、足払い(秋田県)icon  7月17日の早朝、秋田県協和町境の山林で山菜採りをしていた男性(76)が、子連れの親グマと約1メートルの距離で遭遇した。「クマは正面から抱きつかれると動きが鈍る」という知人の話しを思い出し、すぐに頭を下げてクマの胴体にしがみついた。その後男性は右足でクマの左足を払うと、クマは倒れ男性と一緒に斜面を約10メートル転げ落ちた。切り株にぶつかったので、クマと離れた。振り向くとクマが逃げていくのが見えた。秋田県大曲署の調べによると、クマはツキノワグマで、推定年齢3歳。男性は頭や両肩をつめで負傷し、5日間の入院の予定。(朝日新聞 平成14年7月18日)

          
●朝日新聞 http://www.asahi.com


2002/07/15   鳥獣法が改正になりましたicon  環境省が提案した「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律案」が、7月5日に国会で原案のまま成立し、7月12日に交付されました。「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」(旧:鳥獣保護及ビ狩猟ニ関スル法律)の全文は、環境省のホームページでPDFファイルで公開されています。詳細は環境省のホームページをご覧下さい。

2002/07/15   
環境省がパブリックコメント募集中icon  環境省では「絶滅のおそれのある野生動物種の種の保存に関する法律施工例の一部を改正する政令(案)」について、国民からパブリックコメントを募集しています。提出締切は7月19日(金)。詳細は環境省のホームページをご覧下さい

2002/07/13   
クマによる人身事故発生(岩手県)icon  7月12日午後6時15分頃、岩手県遠野市附馬牛町上附馬牛の荒川で、埼玉県から渓流釣りに来ていた男性(47)が熊に攻撃を受け、頭と左手を負傷しました。男性は一緒に釣りに来ていた友人に助けを求め、遠野市内の県立病院に運ばれました。遠野警察署の調べでは、男性は友人2人と離れて釣りをしていたときに、突然背後からクマに襲われたという。(平成14年7月13日 岩手日報)

          
●岩手日報社 http://www.iwate-np.co.jp/

          
(コメント)遠野市は山あいの盆地で、クマの生息地に囲まれた環境といえます。毎年クマによる人身事故が発生しており、平成13年度には9件の人身事故(1人死亡)が発生しています。遠野市ではクマによるデントコーン(家畜の飼料用とうもろこし)やリンゴ等の農作物被害が毎年発生しているほか、農家の納屋にクマが入り込み、保存していた米が盗まれる被害や、鶏小屋を襲いニワトリを食害する被害、水稲の被害なども発生しています。今回事故が起きた附馬牛地区の荒川は、私も何度も釣りをした経験があります。イワナやヤマメが釣れますが、附馬牛地区はクマが以前から出没している地域です。東北で渓流釣りを楽しむ場合には、クマよけ鈴やホイッスルなどを携帯して、クマと出合わない工夫をすることが必要です。釣りに夢中になっていると、背後からクマが接近しても気がつくのが遅れてしまいます。周囲の気配にも常に敏感になりましょう。もしものときに備えて、熊撃退スプレー「カウンターアソールト」もご用意下さい。

          ●クマ情報も掲載されている・遠野市のウェブサイト:http://www.tonotv.com/tonocity/
           クマ情報を見るにはこつがいります。情報検索に囲みに「クマ」とタイピングして、「実行」をクリックしてください。クマの事故状況や出没マップが現れます。


2002/07/13   
東北各地のガソリン料金icon  東北各地のお得意先を今月に入って営業しているときに見た、ガソリンスタンドが表示しているガソリン(レギュラー)の価格についてお知らせします。最も高かったのが福島県郡山市内の某GSで100円/リットルでした。最も安かったのは青森県弘前市内の2軒の某GSで89円/リットルでした。その他の地域は96円〜98円/リットルが相場でした。

2002/07/08   日中韓シンポジウム「アジアのクマ」のお知らせicon  特定非営利活動法人日本ツキノワグマ研究所(理事長・米田一彦)の設立1周年記念行事の一貫として、『日中韓シンポジウム「アジアのクマ」』が9月15日(日)に広島県廿日市市(はつかいちし)はつかいち文化ホールにて開催されることが発表になりました。基調講演の他に、中国、韓国、日本のクマの研究者が口頭発表、総合討論などを行う予定です。詳細はこちらをご覧下さい。

2002/07/08   
ヒグマの会開催日程のお知らせicon  北海道で20年以上活動を続けている民間のNGO.「ヒグマの会」の総会が、11月9日(土)〜10日(日)の日程(予定)で北海道登別市で開催されます。今回は公開のフォーラムは行わずに、会員のみの内輪の集まりになる予定です。詳細が決まりましたらあらためてお知らせいたします。

2002/07/08   
日本哺乳類学会2002年大会のお知らせicon  日本哺乳類学会2002年大会が10月3日(木)〜6日(日)の日程で富山大学人文・社会系共通教育棟(富山県富山市)で開催されます。詳しい開催日程については、大会独自のホームページで公開しています。詳細についてはこちらをご覧下さい。

2002/07/08   
野生生物保護学会第8回大会のお知らせicon  野生生物保護学会第8回大会が11月2日(土)〜4日(月)の日程で宇都宮大学峯キャンパス(栃木県宇都宮市)開催されます。詳しい開催日程については、8月1日よりホームページで公開になる予定です。詳細についてはこちらをご覧下さい。

2002/07/05   
クマによる人身事故発生(岩手県)icon  7月4日午後零時頃、岩手県陸前高田市竹駒町上壷の気仙川支流大隅沢で、宮城県仙台市から兄(74)と2人で釣りに来ていた男性(72)が、クマに攻撃を受け肩や顔に軽いけがをした。大船渡署の調べでは、男性を襲ったのは子グマ2頭を連れた親グマだった。(平成14年7月5日 河北新報)

          
(コメント)気仙川は県内有数の渓流釣りファンに人気の高い清流です。特に7月1日から鮎が解禁になり、釣り人でにぎわっています。また、気仙川の上流、中流とその支流周辺はクマの生息地です。流域の住田町や陸前高田市では、以前からクマの出没や事故が発生しています。

2002/07/05   NPO法人日本ツキノワグマ研究所からのお知らせicon  広島県吉和村にあるNPO法人日本ツキノワグマ研究所(理事長・米田一彦)は、今年度、環境事業団地球環境基金部より、中国東北部でのクマ保全活動に助成金を受けることになりました。このほど理事長の米田一彦さんとスタッフが、6月19日から28日の日程で現地を視察してまいりました。その時撮影された黒竜江省の写真が、NPO法人日本ツキノワグマ研究所のウェブサイトに7月3日掲載されましたので、興味のある方はご覧下さいとのことです。

2002/07/02   
クマによる人身事故発生(岩手県)icon  7月1日午前11時頃、岩手県釜石市鵜住居町の山林で、近くに住む男性が自己所有の貯水タンクを見回りに行ったところ、いきなりクマに背後から襲われた。男性は右耳や背中などに計5針を縫う軽傷を負った。釜石署の調べでは、クマは体長170センチほどの成獣だった。釜石署、釜石市農林課などは防災無線で警戒を呼びかけている。(平成14年7月2日 岩手日報)

          
●岩手日報社 http://www.iwate-np.co.jp/

2002/07/02   
アクセス数90,000ヒット達成icon  1998年2月22日にウェブサイトを開設してから、約4年4ヶ月でアクセス数が90,000ヒットを達成いたしました。これも皆様方に常日頃ご愛顧を頂いた結果です。本当にありがとうございました。今後は100,000ヒット達成に向けて努力してまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

2002/07/01   
第13回マタギサミットicon  6月29日、30日に長野県栄村(秋山郷)のさかえ倶楽部スキー場レストハウスと栄村役場村民会館にて、「第13回ブナ林と狩人の会〜マタギサミット in 栄村」(主催:同実行委員会、共催:栄村猟友会、栄村、協力:狩猟文化研究所)が開催され、全国各地からマタギ関係者約130名(一般を含む)参加しました。
 今回のマタギサミットでは、狩猟文化研究所代表の田口洋美さんが『秋山郷とマタギ文化について』という講演を行い、秋山郷に現存してる古いクマ用陥し穴の跡(推定1800年代)の説明や、今から約200年前に秋田県から秋山郷に移り住んで、マタギの狩猟技術や文化を伝えた阿仁マタギの系譜などが説明されました。
 続いて長野県林務部森林保全課の佐藤繁さんから、平成13年度に策定された特定鳥獣保護管理計画(ツキノワグマ)の概要が説明され、長野県全体のツキノワグマ推定生息数(1,300〜2,500頭)やクマの年間捕獲上限(150頭)、イノシシ捕獲用のワナによるクマの錯誤捕獲が多数発生している事実などが明らかにされました。
 講師の泉山茂之さん(野生動物保護管理事務所)と林秀剛さん(信州ツキノワグマ研究会)からは『奥地放獣の方法と課題について』という演題で、クマのお仕置き移動放獣の説明と効果と課題などが説明されました。さらに、各地のマタギ集落でも問題となっているニホンザルの被害(猿害)についても、被害発生の原因や被害対策などをお話しいただきました。総合討論では参加者から猿害の実態が報告され、効果的な被害対策の要望などが出されました。また、狩猟文化研究所の田口洋美さんからは、
環境省がパブリックコメント(提出の締切7月2日)を現在求めている「狩猟鳥獣の捕獲を禁止する猟法」の改正案の文案に重大な誤りがある点(環境省の改正案では犬を使う狩猟が全て禁止されてしまう恐れがある)が指摘されました。それをうけて、文案の誤りを正すためにマタギ関係者及び猟友会関係者にひろく協力を呼びかけを行うという声明がマタギサミットで出されました。
 なお、「ブナ林と狩人の会(マタギサミット)」は中部東北地方の豪雪山岳地帯に点在する伝統的狩猟集落(マタギ集落)を中心に狩猟文化を研究している
田口洋美(幹事)さんの提案によって、新潟県村上市松山三面、秋田県北秋田郡阿仁町、長野県下水内栄村秋山郷、山形県小国町の猟友会員、青年会、婦人会などの有志が集い、平成2年(1990年)からはじめられた広域的山村交流会議です。

2002/07/01   
市街地にクマ出没(岩手県)icon  6月26日に岩手県一の関市の市街地・寺前地区で、民家脇の道路や駐車場からクマの足跡が多数見つかった。現場は国道4号線や県立磐井病院に近い住宅地。一関署は広報車を出して注意を呼びかけている。
 また、釜石市両石付近のテレトラック釜石付近でも、同日午後1時42分頃、JR釜石線を運行中の列車からクマの親子連れを見たとの110番通報があった。釜石署や釜石市では防災無線で警戒を呼びかけている。(平成14年6月27日 岩手日報)

          
●岩手日報社 http://www.iwate-np.co.jp/


gif. Old Bear Information 2-5-1 (2002.01.01~2002.6.29)

gif. Old Bear Information 2-4-3 (2001.08.02~2001.12.28)

gif. Old Bear Information 2-4-2 (2001.06.01~2001.07.31)

gif. Old Bear Information 2-4-1 (2001.01.01~2001.05.31)

gif. Old Bear Information 2-3-2 (2000.07.01~2000.12.22)

gif. Old Bear Information 2-3 (2000.01.11~2000.06.23)

gif. Old Bear Information 2-2 (1999.10.04~1999.12.24)

gif. Old Bear Information 2-1 (1999.01.17~1999.09.28)

gif. Old Bear Information 1-1 (1998.03.06~1998.12.14)

gif. indexに戻る


grizzly foot small
有限会社アウトバック